莉央と住み始めてから一週間がたった。莉央は5年前に会ったときと変わらず、明るくてよく気が利くしっかり者で俺をイライラさせない。というか凄すぎる、なんだこいつ。掃除、洗濯、料理などの家事全般が全てできている。今しがた莉央が作った晩御飯を前に尋ねてみた。

「莉央、なんでお前そんな色々とできるんだよ」
「ん?全部お母さんに教わったんだよー、自分でなんでも出来るようになりなさいって。こうなることわかってたから教えたのかな?」

ガキらしくない大人びた表情で苦しそうに笑う莉央をこれ以上見ていられなかった俺は、即座に話題を変えた。

「それにしても………メニューはお前が考えてんのか?」
「そうだよーもう趣味の一部って感じなの!考えるの楽しいんだよ!」

本当に楽しそうに笑う莉央を見て、テーブルの上にある料理を見つめた。白米、肉じゃが、ほうれん草のお浸し、澄まし汁、焼鮭というどれも美味しそうで見事な和食だ。莉央のいただきますを横目に俺もいただきますをして、まずは澄まし汁に箸を付けた。ちょっと薄味で凄く美味しい。その調子で他の料理も食べて行く。本当にどれも美味しくて、目の前の10歳の従姉妹を疑ってしまった。まあ俺は作るところを見ていたから信じざるを得なかったわけだが。もぐもぐと咀嚼して飲み込み、ごちそうさまをした。正面ではまだ莉央が飯を食べている。食事の仕方まですごく綺麗だ。久しぶりにまともな飯食ったなーとか大人でもこんなに完璧に出来る奴ってほとんどいないんじゃないかなどとそんなことを考えながら莉央が飯を食べ終わるのを待ち、そしてぼそりと呟いた。

「……いつでも嫁に行けるなー」
「私しずちゃん以外のお嫁さんになる気はないよ?」
「…………は?」

ぼそりと呟いた言葉を莉央は拾って新たな言葉を返した。その言葉は予想外で俺はしばらく固まっていた。



可愛い可愛い

     お嫁さん!


(嬉しいんだけど、なんというかなあ…………)

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