夢小説 | ナノ

Trojandeath



▼ スマイル夢「水玉病」

 突然のin the bed!!!!!!碌に動けない。
「ヒッヒ………大変だね?」
 横でニヤつくのはスマイルさんだ。何故こんなことに…時を少し巻き戻そう(キリッ(`・ω・´))

 一人の部屋に、聞こえるのは食器を置く際の僅かな音のみ。洗剤をつけたスポンジで皿を拭いていく。
 私は皿を洗う際、洗い桶を洗う→食器に泡をつけ、桶に入れていく→纏めて水で流す、という方式を取っている。今回もその流れで、手を泡まみれにしながら作業をしていた。のだが………?!!
 急に腹痛がしだす。立っていられなくなりしゃがむと、腹痛はややマシになったが視界が暗くなったり、ホワイトノイズのような音もサーーーーーッと大音量で聞こえる。これはやばい。
「何これ…こんなのなったことないんだけど」
 仕方が無いからベッドへ赴き、横になる。まだ耳鳴りがする…というか、本当に聞こえているようなレベルの音で、えっ何かガス漏れでもしてる???と思ってしまう。腹痛、腰も痛いし生憎鎮痛剤も切らしているし………もう終わりだ。ここで私のぼうけんは終わり、「おおゆうしゃよ!しんでしまうとはなさけない!」と言われるのだろう。誰にだよ!
 半ば錯乱しているような状態で何気なく横を見やると、
「ヤァ」
「うっうわ…………ううぅ」
 ベッドの傍にしゃがんだスマイルさんがいた。しかし普段なら軽く叫び声を上げるところを、お腹が痛過ぎてそれも叶わない。
「あれー?今日反応うすいんじゃない?」
「い、いやちょっと…すいません色々…てか何で」
「来ちゃった〜〜」
 カノジョかよ。
 彼と話すため身を起こすと、座った方が腹痛も和らぐのに気付く。
「んで…どうしたんだい?顔色悪いよ?」
 あんたには言われたくないよとも思いつつ、生理で、腹痛で死にそうなことを伝える。
「フーーーン………」
 クソ興味無さそうな目が返ってきた。単に遊びたかっただけらしい。ワロタ、もう少し優しくしてくれ…いやこの人は倫理観ズレてるから無理か。
「あ、そ そうだ…あの、痛み止め切らしてて、良ければ買ってきていただけませんか。お金渡すので……」
「えーー………………。それ、ボクがしなきゃダメ?」
「そこを何とか、死にそうなんです…命がかかってます…後で何かお礼しますので………」
 この体調で外出したら倒れそうでそれは流石に避けたい。必死に頼み込むと、彼は「お礼をする」というところにピンと来たらしく、しぶしぶながらも近所のドラストへ行ってくださった。ありがとうございます、ブヒィ!!!!

「ねー、まだ薬効かない?あそぼうよー」
「いま立ったら多分死にます……」
「……。あ、ボクいーこと考えた!ボクの作った薬の方が効くんじゃ」
「いりません」
 こういうときに「結構です」とか「いいです」とか言ってはならない、それらは肯定の意味も持つから。バッサリ「要らない」の意思を示すのが重要だとTVで言ってた!
 スマイルさんは私の頬やおでこを指で突っつきながら退屈そうにしている。先程よりは体調もマシになったものの、まだ立ち上がるのはキツい。
「あのねえ、そういえばさ…こないだの話なんだけど。うちのバンド…に限らず、どこでもメンバーへのプレゼントって食品はNGなんだよねえ、アブナイから。だけどスタッフさんたちがコソコソ話してたんだけどさ、明らかにやばいのがあったらしくてね………貼り付けられたメモの『ユーリ様へ』の文字からして明らかに血で書かれてたらしくって。そんで本体のチョコからも髪の毛とかバンバン出ててさ、色もおかしかったらしくて。そっちにも血なんか混ざってたんじゃないかって、当然破棄なんだけどさあ、ねえ、怖くなあい?」
 そんなキツい話今する?
「は、はあ………怖いですね。」
「そうだよお、バンドっていうか、やっぱり人前に出る仕事はアブナイねえ………ヒッヒッヒ」
 何笑ってんだよ、ユーリ様可哀想だな。
「あ、因みにアッシュくんには自称フィアンセの女の子、ボクにはリスカとかアムカの写真沢山DMとかで送りつけてくる男の子とか女の子とかがいるよ!」
 絶句。
「『ODしました!』とか写真付きでねえ……『死にます!』ってのもあったけどさあ、あれどう見たって睡眠薬なんだよねえ。そんなので死ねるわけないじゃんねえ、ヒヒッ」
「あ、あのもうその辺で………。」
 普段なら平気だけど、体調悪いときにそういう話聞きたくない。いや普段でも別に進んで聞きたい話題ではない。
「あれー、そう?面白いと思ったんだけど。」
 ふと彼が時計を見る。
「ねえ、ボクお腹空いてきちゃったなあ……何か作ってよ」
 体調不良だっつってんだろ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!殺すぞ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!という強い意思を堪え、いや、まだ立つのは辛いので…と濁す。
「人間ってやっぱ脆いね………」
 彼が何かボソリと呟くも、早口だし小声なので聞き取れない。
「え?」
「……んー、なんでもないよ。じゃあコンビニで何か買ってくるねえ」
「は、はあ………」
 てか、いつまでいる気だよ。

「ふう、ゴチソウサマ。」
 結局バターチキンカレーを買って来たらしい。私には何も買って来なかった癖に美味そうに食いやがって、まあ食欲無いけど。
「あ、キミも食べたかった?ごめんごめん、何も言われなかったから…気付かなかったヨ」
 ニヤニヤされると本当にムカつく。別に悪意は無いんだろうけど、彼がこんなにデカくなければ今すぐぶん殴っていたかもしれない。何でこんな無駄にでかいんだよ………。あ、そうだ。
「ス、スマイルさん…あの、いつまでいる感じですか?もう暗いですけど……。」
 今は10月、18時も回った辺りは既に真っ暗だ。
「え?」
「え……?」
 うーんと考え込む素振りをしてから、彼は返す。
「だって、まだ『お礼』貰ってないじゃない?」
「はい?」
「うん。何してくれるのかな…ヒッヒ」
 いや、その「はい」じゃないよ。てか今すぐ?!というか今更だが、寝巻き(適当なTシャツにズボン)ですっぴん、髪も櫛を入れてすらないこの格好、恥ずかしくなってきた。さっきまでは腹痛が酷過ぎて意識してなかったけど………。というか毎回彼が勝手に押し掛けてくるから悪い!!!
「ええと、あれは…………あの、後日というか…その、」
 じっとこちらを見てくる彼。
「今、あげられるものも何も無くて……」
「じゃ、『これ』貰うね」
「へ?うぁっ」
 急に宙に浮く体。いつの間にか彼の肩に担がれていた。
「スマイルさん、この体勢キツ………」
 いつの間にか周囲の風景が彼の家になっていた。意味分からないけど、もしかして…
「テレポート?」
「ヒッヒ…みたいなものかもねえ、ヒトには馴染みないかもしれないけど」
 透明人間すげえとか思いつつ、彼のベッドにゆっくり降ろされる。
「あの……?」
「今日からここがキミのおうちだから。足りないものあったら自分で集めてね〜」
「えっ?!いや………えっ?!?!」
「ヒッヒッヒ〜」
「まってーーーー!!!!!うっ、おなかいたい………」




「ヒトの一生なんて、ボクの人生のどれくらいでしかないんだろうね…そんなに短いのなら、ボクのために使っても…いいよね?」
 ずっと枯らさないでいることすら叶わない、或いは枯れるからこそ愛しいのなら、それまでの時間はせめて…ねえ?






prev / next

[ back to top ]



×
「#オリジナル」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -