夢小説 | ナノ

Trojandeath



▼ イルーゾォ夢「夢でぼくと握手」 21.8.20


 灼ける陽と喧騒。カラフルで轟音を立てるアトラクションたち。隣に立つのは見上げるほどでかい男、イルーゾォだ。他に遊ぶ友人も居なかったため引っ張って来た。イヤイヤながらも叫びまくって楽しんでる様子。
「次何乗る?」
「う″…まだ乗んのかよ。おれちょっと休みてえわ……………イヤ別に???!!!!!絶叫系弱えとかじゃねえけどな!!!」
 うるさい。全然元気じゃねえかコイツと思いつつ、ベンチはかなり埋まってしまっているため、空いてるミラーハウスへ向かう。
「わあ、涼しい〜。」
 陽が当たらないせいか、外より遥かに快適だ。
「まじだな。外暑すぎんだろ」
 単純な作りでも案外迷う。
「結構難しいねえ」
 ……返事はない。聞こえなかったかな?振り向くと、先程まで後ろに居た彼が消えた。他の道へ行ってしまったのだろうか?
「おーい。イルーゾォ。いるー?」
 声量を張り、ハウス全体に聞こえるようにするも、無音。私を驚かそうとしてるな、さては。既に出てしまったのだろう。
 私はゴールを探し辿り着くも、そこにも彼は居なかった。おかしい。辺りを見回すも、知らない人しか居ない。入口兼出口の係員さんにこういう男が出て行かなかったか、と尋ねるも、まさかの出ていないと言う。
 体調が悪いと言ってた。もしかして、倒れてる?!!!
 事情を話し、係員さんと再入場し、くまなく探したが彼は結局見つからなかった。入る人は少ないから、わりかし目立つ彼を見過ごす訳も無い。
 係員さんは他のスタッフも連れて来てくれ、園内も捜索した。正直、大ごとになってしまい恥ずかしいな、早く出て来いよ、どっかトイレにでも行ってるのかも、と思うも、一向に彼を見た者すら現れず。
 最終的に私は2人で来た道を1人でバスに乗り帰ることになった。こんなことになるなんて。彼は一体何処へ行ってしまったのだろう……。

**
 う……ここ何処だ?あ、夢主。何してんだ、こんな簡単なので迷ってんなよ、だせえな。しかし何だかおかしい。
 さっきまでアイツの後ろを歩いてたのに、何で横から見てんだ?この通路にそんなスペース……。そこまで思考を進めやっと気付く。おれはあのハウスの中に居ない。
 いや、正確にはここもミラーハウスなんだが、どうにもおかしい。おれの腕時計がいつの間にか反対になってやがるし、鏡を隔てておれは夢主を見てる。
 つまり………鏡の中………???
 夢か、コレ。
「ぅわあぁあ!!!おい夢主!気付け!ここだぞ!!!!!!!!!」
 ドンドンと手がヒリヒリして感覚の無くなるまで鏡を叩いても、アイツは気付かない。聞こえてないみたいだ。嘘だろっ……
 後ろから口を掴まれ塞がれる。視線だけやると、カラスのような顔の、真っ黒いローブを付けた変な男?だった。ソイツはおれをズリズリ後ろへ引き摺っていく。
 まって。待てよ。死にたくない。まだやってないこといっぱいある。ギターも全然上手くなってねえし高級レストランにも入ったことない。キャビアも食ってみたい。アイツに言えてないこといっぱいあんのに………

 イルーゾォは行方不明届が出されたが、15日後に捜索は打ち切られ、数年後には思い出す人も居なくなった。





END




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