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Trojandeath



▼ チョコラータ夢「スパンクハッピー」 21.6.22

水色の中に桃色が混じり合う空。窓からの光はやや頼りなく、薄い影を落とす。
規則的な振動。私は先生に抱きかかえられ、奥に続く廊下を進む。
診察室のベッドに横たえられると、いつものように腕をゴムのバンドで縛られてから採血され、彼はデータをノートに取る。
そのままTシャツを捲り、肌を見る。私の頬は今の雲のようなピンクをしている。
「よし、もういいか。えーとあとは……。」
カメラを取り出し、私を撮る。写真は苦手だし恥ずかしいけど先生のためならと我慢した。
よしよし、よくできたな。えらいぞ。
そうやって、言うことを聞ければ褒めてくださるから。
彼が欲しいのは言うなりになる「もの」で、私はその通りにすればいい子にして貰える。完璧な仕組み。

「こい、セッコ。」
先生は私をどこかへ連れて行く。
どこに行くんですか?
「裏山だ、着いてこい。」
もう暗くなる、懐中電灯も忘れるなよ、と付け足す。

外は肌寒く、インクをつけたペンを洗ったような空にぽつんと半端な月が据えてある。
ある程度進むと、セッコと呼ばれた彼がすさまじい速さで穴を掘る。というより水を掻き出すようだ。
そこに私は投げ込まれ、深く沈む。

「一酸化炭素中毒者の良いデータが取れたぞ、セッコ喜べ。やはり肌がピンクになるんだな、予想より鮮やかだった」
うおっ、とだけセッコは返した。

先生。
先生のお役に立てるなら私は幸せ、何をされてもどうなろうと。
こんな価値の無い人生をあなたの手で終わらせられて意味を持たせて貰えるなら他には何も要りません。
どうもありがとう、殺してくれて、先生。







「スパンクハッピーておれの好きなバンドあるんだけどさ、アレ『殺されてしあわせ!』てコトなんだってさあ。意訳らしいけど。エーゴわかんねえけど、やべえ」
「まじ病んでんじゃん、ヤベーワロタ。マックいかね?」
「せめてモスにしろよ。肉食いてー」



★終☆




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