夢小説 | ナノ

Trojandeath



▼ プロシュート夢「室内」 20.3.2

彼は、私が家にいても居なくても不快なのだ。
私が一人で外出して帰宅すると、「随分遅かったな」と言う。(実際は夕方の6〜8時ほどで、大して遅くもない)だけど、ずっと家にいても「いい加減引きこもってないでどっか行ったらどうだ」と嫌味っぽく言う。
それで、私は家にいるのも、外出するのも怖くなってきた。どちらにしろ彼が怒るからだ。
だが、彼はどうやらその矛盾には気付かないようなのだ。私は最近になってなんだかおかしいような気がすると思い始めた。

私が薬を飲むのも彼は嫌う。
「ヘンな薬飲みやがって」
と。
心療内科で渡される薬に対しては、まあ分からないことも無いが、市販のものにさえ不快な視線を向ける。
自分は高血圧の薬を医者から処方されているのに。
だから、彼は私の前で薬を飲むが、自分は部屋で隠れてコソコソ飲まなければならない。これは面倒なことだった。

何をして、いつ怒られるのか、何が彼の沸点に触れるのか分からないから、私は何をするのも不安だった。
近頃はあまり怒鳴りつけては来なくなったようだが、それもただ「機嫌がいい」だけで、きっとまた昔のように戻るのではないかと内心いつも怯えている。
だけど私はろくに働けもしないから、一人暮らしも出来ない。本当はしたいが、薬を飲んでも何も良くならないから、ポンコツで無能で他人と同じにすることは何も出来ないから、彼に縋るしかない。
知り合いも全然いないため、助けも求められない。
医者も頼りにならないし。(新しい薬に対しての知識もどうやら怪しいようだと思う)
「障害のある人の働ける場」なんてのを見学しても、私はまた大学を辞めたように、バイトが長続きしないように、いつもどこに居ても浮いてしまうように、また同じ事を繰り返すだけだともう諦めた。
家では家事を行なっている。
家事はとても苦手で、なんとか茶碗は洗っているが、料理や洗濯は難しい。
知能には問題が無いはずなのに、働けもしない。いつも遅刻する、生活が立てられない。「ずっと同じ」でいられない。クソだった。
死ぬことばかり毎日考えた。
私はあれもこれも嫌いだとかよく言ったが、彼はそこは気にしないようだった。
機嫌の良い時は買い物に連れて行ってくれ、アイスやパフェ(「女子供は甘いもんが好き」と彼は思い込んでいて、とにかくそれを与えれば良いと思っているフシがあった。まあ好きなのだが)を食べさせてくれた。
洋服もよく分からず、興味も余り無いのだが(何も似合わないし)、これはどうだと見繕ってくれたりもした。
私が癇癪を起こしても、あまり動じず、ドッシリ構えている印象はある。そこはとても頼もしかった。

気紛れさえ無ければ。
時々カッとなってイライラして歩き回ったり、壁や床に物を投げ付けて壊し、暴れ回るのさえ無ければ、プッツン来て店員やそこらの人を、些細なこと(例えば、肩がぶつかった(ヤ●ザかよ)、食事が出てくるのが遅かった、言葉遣いが不適切だった←これが一番多い)で殴りつけ回したり、そのせいで私が後片付けをしたり平謝りをしたり、そーゆ〜〜のさえ無ければ……。と思わないことも無いが、多分『こういう人』だから、私に構ってくれるのだろうと思うから、お互い様だと思って諦めている。

彼は、昔は、食事中に、朝に、リビングにいる時に、いつでも八つ当たりしてきた。それか、イライラしたり、横になって不貞寝していた。いつも。
「私が居るの」が不快でタマラナイようだった。
それで、述べたように私が家に居ても居なくても罵り、常に不快そうにしていた。でもだけど私から離れてもくれなかった。
私はいつも彼の顔色だけ窺っていた。そんなだから誰とも上手くやれなかった。
彼は、今はそんなことあまり無いし、あの頃のことなど全て忘れてしまったようだが、私はいつまでも覚えてるし、いっときは本当に「寝ているところを包丁で刺し殺し、自分も死のう」と考えていた。

多分彼は別に私をそんなに『ほんとうに』気に入っている訳では無いと思うし、一緒に居てもお互い何にもならないし離れた方がまだマシなのかも知れないが、これから先もどこに居てもあの沢山ある眼から逃れられないのだろう、と思う。

END



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