夢小説 | ナノ

Trojandeath



▼ ホルマジオ夢 『蜘蛛の糸』@ 19.10.18


昼休みは大嫌い。


チャイムが鳴り、トイレに行って教室に戻ると、他の子が私の席に座り、友達とお弁当を食べていた。

別に偶然とかたまたまとかなんとなくではない。
この子たちは私のことを嫌っていて、いつも陰口を叩いたり、こういうチマチマしたいやがらせをしてくるのだった。
「どけて」と言うエネルギーすら無く、リュックを開け弁当と水筒を持って、一階の飲食できるスペースに行った。
ここも本当はあまり好きではない。
人が沢山いる場所は苦手だし、割とウェイな人が多いからだ。怖いよう!クソ!

空いている席に腰を下ろし、大してお腹も空いていないのに、それでも食べないと午後保たないから弁当の蓋を開ける。
もそもそと死んだ目で砂の味のブロッコリーを齧っていたところ、
「ひとり?」
と声が降ってきた。
余りに近くでするので、もしかして自分に聞いてんのか?と顔を上げると、目の前に知らない男がいた。
髪はピンクとオレンジの間みたいな色で、剃りこみのある坊主頭。アーモンド型の、きれいに釣り上った目をしていた。
背はずいぶん高いみたいだ、制服を崩して着ている。

「え…… 」
突然のことに軽くパニクり、黙っていると、彼は私の隣にドカと座り込んだ。勝手に。
誰?
心底知らなかった。
怖い。
なんか見た目だいぶチャラいというかオラついてるというか、そーいう感じなので、カツアゲとかだったら嫌だなあ。
とか思っていると、
「オレ、お前のこと見たことあんだけどよォー。ホラ、地下鉄とこでよ。朝。しらねえ?」
と言ってきた。
首を横に振ると、あー、そうかーと言って笑った。
「オレはホルマジオ。おれもここで食っていい?つって、もう食ってるけど!」
ハハハと笑いながら、売店で売ってるメンチカツバーガーを食べている。
「なんでよおー、ここで食べてんだ?一人で。」
「教室で…、私の席に他の子が座ってて………。」
と言うと、
「ああそりゃしょうがねーなあ〜。かわいそうに。」
と言って、ウンウン頷いてみせた。
それからいろいろ話をした。
話してみると見た目と違ってそんなに怖くないみたいだし、面白い人だった。話しやすい。
それで、その日一緒に帰ることになった。というか、向こうから着いてきた。
何年なんだ、へえ1年、おれは3年だ、とかいろいろやりとりをする。
「友達と帰んないのか」という問いに、帰らないと言い、
「学校があまり好きじゃない」
とこぼすと、「しょうがねえなあ〜」と言い、

「じゃあおれが楽しくしてやるよ」

と言った。
そんなこと出来るはずないのに。嘘をつくなよ。
それからまたとりとめのない話をして別れた。
彼は「またな」と手を振った。

〜〜〜

それから数日後、おかしなことがあった。
昼休み、私をいつもいじめてたクラスメイト男女数人が教室にいない。
それはまあ普通だったが、帰りのホームルームになっても戻らなかった。
一体どうしたかとみんなが噂していた。

その日の放課後、彼らが見つかった。
学校近くの路地でボコボコになって倒れていたのらしい。
うちの学校はなかなか辺鄙な場所にあり、周囲は閑静なさびれたかんじの住宅街で、人通りが少なく、発見が遅れたのだそうだ。
彼らの顔は元が分からないくらいに変形しており、身体も変な方向に曲がっていたりした。
血も出ていて、うめいたり、痙攣してたり、まったく動かないものもいたらしい。
犯人はわからなかったという。
だが、近頃この辺りで不審者が出ていると噂があったので、ソイツが犯人だとみんなが言っていた。
教師からは不審者に注意し、できるだけ複数人で帰るように連絡がされた。

ちなみに、発見したのは近くに住む小学生数人だったそうだ。
家の前でドッヂボールをしていて、ボールをぶっとばしてしまい、探しに来たところ、ちがうものを発見してしまったと。
その子たちは、その場で腰を抜かしたり、吐いたりしたらしい。
そうだよなあと思った。かわいそうに。よっぽどトラウマになったろう。よかったよかった。
ニュースなんかで、犬の散歩をしていて死体を発見したなんてエピソードを聞くと、そんなもん発見したくね〜よと毎回思う。

それを聞いた彼らの友人たちはみんな悲しみ、驚いていた。本当に泣いている子もいた。
私はその横で、ヤッター、ラッキー!とこっそりニヤついていた。「天罰がくだったんだ、ざまあ味噌ラシド!!!」なんてハイになっていた。
残念ながら、その反応は大きく間違っていたことをのちに知る。

〜〜〜

「なんだ、元気だな?いいことあったか」
ジャムパンを大口にかじりながら、ホルマジオがきいてくる。
あの、はじめて会った日から、私はもっぱら1階のこの謎飲食スペースで昼食を摂り、彼がそこにやってくるというのが日課になっていた。
「うん!」
めずらしく元気めに答えた。
先日あのクソどもがぼろきれになって発見されたから、気分がいい。

「……そ〜〜かそ〜か、よかったなァ。」
と言い、ぐしゃぐしゃとわたしの頭をかきまわす。髪がやばいことになった。
「やめてよ。」
「ハハハ!」

彼の顔がへんに笑ったのに、私は気づかなかった。

〜〜〜

晴れた朝の澄んだ天気と裏腹に、私はうんざりしながら身体を引きずってなんとか歩いていた。
べつに怪我をしてるってんじゃない。
ただ学校がイヤで、行きたくなくてたまらない。

元々私は朝の準備が苦手なのだが、学校が嫌いなのが追い打ちとなり、輪をかけてのチコク癖となっていた。
つまり今遅れている真っ最中なのである。たすけてー!!
学校が嫌いすぎて身体、とくに胸の辺りが鉛のようなのだ。ほんとうに。
わたしは実際体験するまで、「身体が鉛のようになる」というのは単なる比喩表現だと思っていたが、違うのだ。
学校に向かおうとするだけでズッシリ鋼鉄化する心臓と脚のせいで、ますます遅れ、よりいっそう行きたくなくなる。その繰り返しだ。
人間の身体ってスゴイなーと理性で感じながら、「どうせ学校にはいかなくちゃいけないんだから、もう機械になりたい。ロボットになりたい」と現実逃避した。
いじめてきていた奴らは入院していなくなり、少しはマシになったが、それでも行きたくないのには変わらない。
友達いないし。

学校前の横断歩道までなんとか辿りついた。
ここは、ごく短い距離(ほんの3mくらい?)なのに信号がなかなか開かないから「魔の信号」なんてみんなふざけて呼んでいた。
ご存知、遅刻ぎりぎりなので、赤信号を無視して渡ると、男性教師に見咎められた。
みたことないヤツだ。
そいつは、怒鳴るように、威圧的に言葉を発した。
「何やってんだ、お前だ、お前。何年だ?」
「1年?将来もあるのに轢かれたらどうするんだ。」
この言葉だけなら真っ当に聞こえるかもしれないが、この辺、見通しは大変良い。
少し緩いカーブはあるが、なんにも無い。
つまり、轢かれようがない。こんなトコで轢かれるなんて小学生でもないだろう。(実際、高校の隣に小学校があるが、そんな話聞いたこともない。)

「お前のために言ってるんだぞ、なんで遅刻してきた?」
見当外れな叱責を黙って聞いてると、信号が開いた。
こんな時間に来るバカがまだ1人いて、こちらをチラチラ見ながら渡って行った。
少ししてチャイムが鳴る。遅刻の合図だ。
反射的に顔を上げると、
「なんだ?行かせないぞ、お前が悪いんだからな、わかってんのか?」
と言い放った。
そりゃあそもそも私が遅刻してくんのが一番悪いし、信号無視もまあよくないよね。したくてしてんじゃないけど。
でもそれにしてもこれは絶対八つ当たりですよね?というくらい高圧的だ。ヤクザか。
教師はまだなにかグダグダ言っている。
私が今チコクになったのは『コイツの』せいだ。『コイツ』さえいなければ…。

と完全なる逆恨みに走る。(でもいくらか八つ当たりというのはおそらく本当なんじゃないかな)
私の精神はもう遥か彼方に行ってしまって、ただぼうっとしていた。
もう朝からサイアクな気分で、そのまま保健室に直行した。
その日は早退し、家に帰るわけにもいかないから、死んだ目でてきとうに人の少なそうなところをフラフラした。
ずっと車道を見続けている人生だ。
クっソぉ〜〜〜〜〜〜☆

その一週間後、この教師が自宅で刃物により刺されているのが発見されたと聞いた。
不審者はまだ捕まっていないらしい。
クラスメイトはぎゃあぎゃあ言っていた。次はアンタが殺されんじゃないのとか、もう学校サボろうぜとか。
流石にこう続くと学校内もザワつく。
私も、まさか身近でこんな事件が起こりまくるなんて人生初で、ちょっと不謹慎にもドキドキする。
昔からいつも長期休み明けに、「誰か死んでないかなあ」と思いながら登校し、ガッカリしていたから。
こんな風に、残虐な事件のように、私の人生も変われば良いのに。

とか思いつつ、できるだけ一人で帰らないように、という教師の言葉を聞き流し、いつものようにひとりで帰った。

〜〜〜

普段通り、つまらない苦痛の学校をやっと終え、学校前の坂道を下っていると、後ろから呼び止められた。
聞き覚えのある声に振り向くと、やはりホルマジオであった。
「よぉ。」
「やっほー」
彼はこうして時々湧いて出てくる。突然に。(以前こう表現したら、愉快そうに「虫みてえな言い方すんなよォー」と笑っていた。)
「今日はお友達と帰んないの」
と聞くと、
「今日はアイツらフったぜ〜〜、オマエと帰るからってよォー」
と言いながら、肩に腕をまわしてきた。
彼はいつもなれなれしかった。この容姿だから、女の子にあまり嫌われたことがないのかもしれない。話も面白いから、友達も多そうだし…。多分。
でも、それでも一人で帰るのよりは退屈が紛れるし、なにより地下鉄の中で一人にならなくて済むのはありがたかった。
私は途中まで地下鉄で帰るのだが、当然みんな同じような時間に授業が終わり、帰路につくわけだ。すると、クラスメイトや同じ学年の子たちと一緒の車両に乗らねばならない。
少なくとも同じ制服の人たちとは。
それはとんでもないストレスで、苦痛だった。
みんなは「友達」とギャアギャア騒いでいて、私は一人。直接いやがらせをしてきてた子たちはいなくなっても、私の顔を知っている人間は大抵敵だ。争いなのだ。
クスクス笑われている気持ちになって、ウンザリした。

でも、そこに彼がいると、「話し相手」ができ、少しはよくなり、気が紛れた。

彼が言った。
「最近どうだ?ガッコー。たのしいか?」
彼はよくこの質問をした。というか、会うたびにする。親のようだと思いつつ、
「う〜ん、そこそこ…。」
とこれまた親にするような返しをしてしまう。
「どうしたらもっと良くなる?何がイヤなんだ」
と問われ、うーんと考え込んでから、
「…嫌いていうかニガテな先生とかいるし…友達もいないし…」
と割と正直に告げた。
「あれ?おれ、ダチじゃねえの!?さびし〜〜〜ぜ〜〜!!」
けっこうかなりでかい声で叫ばれた。みんな見ている。前言撤回マジで帰れ。

「そうだ、LINE交換してなかったよな。俺としたことが忘れてた。」
全然誰も、姉以外ほぼ登録されていない「ともだち」欄に人が増え、ちょっと感動した。
その日、なんでも待ちというのは良くないし嫌われるかもしれないと考え、ちょっと勇気を出して彼にメッセージを送った。
あまりに文言で迷い、結局スタンプを一つ飛ばした。「よろしく」とへんなウサギがポーズをとってるやつ。
すぐにピースのでかい絵文字みたいなのと、彼の謎自撮りが送られて来た。返信の速さと送ってくる内容、さすがリア充。

久しぶりに友達ができたなと実感し、高揚した。
これまでは、男子は嫌いだし、女の子としか親しくしてこなかったが、彼は他の人となにか違った。
「私にわざわざ話しかけてくる」というところもだけど、そうじゃなくて、「ただの頭の悪い不良/リア充」ではないのだ。以外と慎重だし、私の趣味や苦手なことをバカにしてこない。「ちゃんと考えているな」と思わせた。
ちょっとテンションの浮き沈みが激しいところがあるけど。
不安や嫌いなものの多い私には、あれくらい強引で楽観的な人でつり合いが取れるのかもしれない。

クソな学校生活も、少しくらいマシになってきたかもな、と思った。

〜〜〜

ある現国の授業。
その日はワークを集める日だったのらしいのだが、私は先日休んでおり、それを知らなかった。ショック!
出席番号順に前に出ていって提出する流れで、自分の番のとき、教師にそう正直に告げた。
すると、クラスメイト全員の前で、

「親友を作れとは言わないから、せめて宿題を教えてくれる友達くらいつくれ」

と言われた。
この男性教師は厳しいことで有名だった。ニコチン中毒で、すぐ怒るし、恐れられてわりと嫌われていた(と思う。中にはなぜかカワイイとかいう白痴のような女子もいたが、例外)。

私の頭と身体は凍りついた。氷漬けにされたマンモスのように。でもそれより遥かに強固に。
みんな私を見ている。見なくても分かる。
なぜ宿題を忘れたぐらいでそこまで言われなくちゃなんないのか。
わざわざ皆の前で。
悪意がないとしてもそれは絶対有り得ないし許さない。本当にクソだ、死ね、殺す、と繰り返し思った。
お腹の辺りがムカムカしっぱなしだ。黒い塊みたいだ。
黙ったままの私は、周囲からはどう見えたろう。恐らく酷く滑稽に映ったに違いないぜ!☆
元々嫌われているし。(それか興味がない)
なんとか席に戻ろうとするが、多分、今私はとんでもなくひどい顔をしている。しかしどうにもできなかった。

ここに彼がいたら何か変わったろうか。でも困難や苦痛というのは自らでなんとかしなくてはならないものだ。
他人に頼っていてはダメなのだ。

苦しくなって、逃げたかった。
2限の授業だったので、なんとか午前は耐えた。だがもう無理だ。
「いのちだいじに」というコマンドがほしい。あとポーズかメニューボタン。一回休ませてくれ。
だが無情にもそんなもんはない。
昼休み、1階のあの場所にすらいられない気持ちだ。今は。
彼と会っても、目も合わせられるか分からない。
だけど保健室はスグ追い出されるし、あの保健医のババアも嫌いだ。へらへらして頭が悪そうで。
早退するにも家には帰りたくない。というか怒られる、うんざりされ、ため息をつかれるから帰れない。
私はいじめられていることを誰にも言っていなかった。役に立たないからというか、すべてが悪化するに違いないから。
こう、性格がねじれ、ねじれまくり、オオワザ!三回転半ひねり後方抱え飛び込みスペシャル!!0点!!!!!!!!!!!!!!!!!!みたいな性格をしているから周りと馴染めないんだろうなといつも思うが、自分にもどうしようもないのだった。
「のろわれたそうび」みたいな。このそうびはのろわれてはずせない。

それで、帰るわけにいかない私は校舎裏へ行ったのだった。
ここなら誰にも見られず一人でごはんが食べられるかと思って。

シヌホド後悔することになるとも知らずに。

〜〜〜

玄関から左に出て、校舎裏へ向かった。
正面の校庭にはたくさん人がいて、走ったりボールをぶつけあったりして遊んでいる。
気分が悪くなった。いらいらする。更年期か。
裏の方に行くほど人気はなくなり、静かになる。
「ああよかったな、安心だ」と思っていると、なにやら変な音が聞こえる。
近付くと、どうやら人の声と、なにか鈍い音、ものを叩くような。声は笑っているようだ。楽しそうに。
いやだな、こんなとこにまでウェイは湧くのかと思い、うんざりした。
なんとなく、「チラ見して帰ろう」と思った。

それが大きな間違いだった。


誰か、ずいぶん背の高い男子生徒が、なにかをけっとばして遊んでいる。
サッカーでもしてるのか、そうじゃない。
転がってるのは、人間だった。
男子が、Yシャツにスラックスをはいた男性を、笑いながら踏んだり蹴り上げているのだった。

ヤバイ。

これはマズイ。
見たのが知れたら私も「ああ」なると思い、帰ろうとしたその時。
私は一番重要なことに気が付く。

あの男子生徒、見たことがある。
でも同じクラスじゃない。うちのクラスにあんな背の高い男子はいない。
あの。
あの特徴的な頭は…………………。


まさか、彼なのであった。
長い手脚。吊り上がった目。
サーモンピンクのような、剃りこみの入った髪。

ホルマジオ。
彼が、その暴行の主犯であった。
よく見ると、達磨のように転がされている人も見覚えがある。
今日、タッタ数時間前に、私を理不尽に怒ってきた教師、その人だ。
ホルマジオは彼を殴り、蹴り、踏みつけ、血だらけにしていた。
男の口にはガムテープが貼られ、手足は縛られている。
それでも弱くうめき、蹴られると時々びくとはねた。

息が止まった。

そして脳の中で繋がった。解けてはいけないパズルがはまってしまった。


「…もしかして、前の子たちも…………………?」


なぜ彼がそんなことをするのか?
なぜ私は気付かなかったのか。
考えたくはないが、仮説、でももう確信を抱いてしまっている考えがひとつ、足りない頭に浮かぶ。


<最近この学校で起こっていた謎の連続暴行事件は、全て彼が起こしていたのだ。>

恐らく。
そう考えると彼の言動も、何ら繋がりのない被害者たちにも関連が見えてくる。
全員、「私に危害を及ぼした者たち」だ。そして、それらはすべて、私が「彼に出会ってから」のごく短期間に起きている。
何のために?
わからない。

それぞれ死んだ者はいなかったが、みんなそれなりの重症にさせられていた。
ずっと意識が戻らない人もいるというのも聞いた。
なぜあんなことを。
私は彼に「誰々にこういうことをされた」なんて、言ったことはなかった。一度も。
確かに、あの男性教師はすぐ怒るしちょっとこわくて嫌い、くらいは話の流れで言ったことはあったが、それ以外は特に伝えていない。
しかも、今ボコられている彼にいたってはついさっき、数時間前の出来事だ。
同じクラスならまだしも、3年生の彼には到底知りようがない。ハズだ。
でも偶然にしてはあまりにも。

あまりにも…………タイミングが。

そこまでいったところで、考えすぎるとパンクしてショートするポンコツな私の脳は思考をやめた。
恐ろしくなり、私はそのまま何も見なかったことにし、帰れたらよかったがそうもいかないため教室に戻った。
もう昼休みは終わりかけだったからクラスメイトがたくさんいたし、弁当も食えていないが、そんなことはもうどうでも良かった。
明日、あの男性教師が暴行された旨をきくのが怖かった。
どこから、いつ出てくるかわからないホルマジオも。

もう何も起こりませんようにとだけ祈った。

〜〜〜

なぜ、わたしの人生はこんなわけのわからない目にばかり遭うのか。

外の風は涼しく、スッキリとしていた。すきとおるような青空の下、一人で帰宅しながらぼうっと考える。

いつもいじめられて、嫌われたり。友達ができても、スゴクわがままで、無茶なことばかりいってきて、つらかったり。教師からよくわからないこと言われたり、されたり。

よく、ドラマ(見ないけど)とかマンガとかで、主人公なんかが
「私の周りっていい人ばっかり。こんな幸せで恵まれてていいのかしら?」
とかいう薄気味悪い自意識過剰みてえなセリフを吐く。
すると、他の人が、
「それはあなたがいい人だからよ。それに引き寄せられていい人があつまるの」
なんて胸クソわるい返しをする、という流れがある。
私は思う。「周りにいるのがいい人ばかり」がもし本当に自分のおかげだとするなら、「周囲がいやな人間ばかり」なのもそうなのではないか、と。「自分のせい」なのでは、と。
「自分では何もしていないつもり」でも、「何か」よくないからみんなに嫌われたり、すくなくとも好かれないわけで。
向けられる好意もなにかおかしい。
やはり、それは私がおかしいからなんじゃないかな、とボンヤリ思った。




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