夢小説 | ナノ

Trojandeath



▼ メローネ夢 『夢は幻』A 19.9.15

メローネは女の子自体にあまり興味がなかった。
容姿のせいで、向こうから言い寄られることは多いようだったが、付き合っても全然愛想を振りまいたりしないし、優しくしないし、とにかく冷たいままだった。
冷たいというか、興味を持たない。
そんな調子なので、すぐにフられていた。
「来る者拒まず去る者追わず」の良い例だ。
寄ってくる女の子はみんな綺麗な子たちばかりで、何がそんなに不満?なんだろう、私だったらヘラヘラしちゃうのになーもったいねえとかいつも思っていた。

それだから、彼が「女の子に困る」ということはないはず。だ。多分。
なのに、だから私を盗撮するという行為はおかしいと思った。
少女マンガじゃないが、私と違って明るくて楽しくて健康的でスタイルがいいとか胸がでかいとか優しいとかカワイイ女の子など、彼は選び放題のはずだったからだ。
やろうと思えば。

私は自慢じゃないが一度もモテたことも、恋人がいたこともないし、なんなら今は友達もいない。
学生時代はいじめられてたし、特技もないし、そういう何もない人間である。(スタンド使いではあるけど)

だけど、これでメローネに「好きだ、付き合ってくれ」と告白でもされたらまさしく少女マンガ(?)だが、そのようなことは一切言ってこない。

でも、最近の彼の私に対する態度は、少し以前と違うように感じる。
なんだかベタベタしているというか、怖い感じがするのだ。振り払えない、付き纏ってくるような、例えるなら真後ろからずっと見られているような、そんな感じ。気のせいかもしれないが。
いや、気のせいなんかじゃないと思う。
私と話すとき、笑うことが増えた。
その笑い方も、なんだかいやな感じで、前と違う。
これは私の思い込みだろうか?
そうかもしれない。

いつもと何も変わらないのかもしれない、上記のことも全て妄想なのだと、思う、思おうとすることもある。

普通に笑いながら話してくれるし、親切にもしてくれる。
でもそれは仲間以上のものではなくて、そもそもやはり彼は女の子を性的には好きじゃないようだし。
やはりネットとかにアップして笑いものにするために撮ったのかなあと考えるが、彼がそんなことをするだろうか?
彼らは、仲間である私を冗談でバカにしたりはしてくるが、本当の意味で軽蔑や、嘲ることはないのだった。
というかでも普通は盗撮なんかしない。

何がなんだかサッパリ分からなくなって思考が宇宙に達しかけたところで考えることをやめた。

ーーーーーーーーーーーーーーー

薄暗い部屋で、レンブラントの絵画のように、男性の顔だけが液晶の光に浮かび上がっている。

並べられたいくつものモニタ。
なにやらブツブツ呟いている。

「あぁ、かわいいなあ、おれの夢主」

視線の先には、女性が映っている。

部屋で着替えているところ。
眠っているところ。
寝起きのフニャフニャした顔で歯を磨いているところ。
リビングでみんなと談笑するところ。
フォークを転がしてプロシュートに小言を言われて苦笑いするところ。

画面に写るあの子を見て、ウットリとする。
頬杖をつきながら、自然と口がニヤつく。

仲間にもバレないように小型カメラを設置するのは楽しい。
ほんの指先程度のサイズなので、普通に過ごせば全く気付かれることはない。
幸い仲間は機械に疎いし。一番メカに強いのがおれだから。
リーダーとかにはバレるかもしんないけど、そのスリルがたまんないよね。

あの子はどうやら、男が苦手で、とくに性的に見られるのがイヤみたいだから。
一人でこうして楽しもう。
フフッ、と声が漏れてしまう。


「……明日は何話そうかなあ?」




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