夢小説 | ナノ

Trojandeath



▼ イルーゾォ夢 鏡を買いに行く 19.6.30


任務に使う鏡を調達するからついてこいと言われ、ムリヤリ引っ張ってこられた。

「でかい鏡ってのはよー、案外こーいうリサイクルショップに売ってるモンなんだよ。引っ越しで持ってけなくなって売ったりな。正規より安く買えるしな!」
オラ、オメーも探せ、と二人で鏡を見繕う。
「あ、これは?」
「もーちょいでかいヤツがいいな。見やすいから」
案外面倒くさい。
「デザインもな、重要だよ。プラスチックの枠の四角いのなんかはダサいし、安っぽくてダメだな、うん。」
独り言みたいにブツブツと言っている(多分私に言っていると思う)。
彼は前から思っていたがワガママな傾向にあるようで、結構仲間からも言われていた。
しばらくの間わやわや言いながら探していると、
「お、これ良さげだ。」
と彼がガチャガチャと掛けてある鏡の中から一つを指差した。
それは、アール・デコ調の枠に鏡が嵌められたデザインのもので、6〜70cmくらいはあるように見えた。
「あ、いーんじゃない?」
早く済ませて帰りたかった。
「割と安いしな。あんま高いの買ってもすぐ壊れるし、あとプロシュートにドヤされんだよ。アイツ、ケチだから。」
「たしかにね!」
と二人で笑ってから、店員を呼び付け、紙で包んで貰う。
「配送は宜しいですか?」
と歳をとった店員が聞いたが、彼が「いや、いい。持って帰るから」と断った。
さあ、帰ろう、と思っていると、
「ホラ、お前持て。」
ドサッと包装された鏡を押し付けられた。
「え!?」
彼はスタスタと先を歩いていく。
「ま、待って……」
重い!
古めかしい物のせいか、鏡の部分も分厚いし、枠も金属で作られているため、かなり重量があった。
「重いんだから、自分で持ってよ!」
と言うと、彼は、
「オメ〜が貧弱だから鍛えてやってんだろ?運動だよ、運動。筋トレだと思え」
とか抜かしやがった。
クソ野郎!!!!!!
絶対自分がラクしたいだけだろ。
百均とかで売ってるやっすい軽いプラスチックの枠の「ダっサい」鏡でも使ってろ!!!!!!!!
とか思って睨んでいると、彼が突然振り返り、肩に腕を回してくる。
「なんだよ〜、怒ってんのか?
オレはよー、オメーのために持たせてやってんだぜ!」
「ざけんな、自分で持って!!」
彼は他人との距離が上手く測れないのか、メンバーといつも距離が近い。
私に対してもそうで、割とベタベタと触ってくることが多かった。
そのまま彼は鏡を持ってくれることはなく、腕を私の頭や肩に置いたまま並んで帰ってきた。
途中20回ぐらい「死ね」と思いながらもなんとか帰り着いた。
死ぬほど疲れた………。

アジトに着き、なんとか床に鏡を置き、気分を変えようとスマホをポケットから取り出すと、彼がニュッと腕を伸ばし、私のスマホを掴んで、高く掲げた。
「かえしてよ!」
彼はチームで二番目に身長が高く(リーダーはもはや別次元の超高層ビル)、背伸びして腕を伸ばそうと手が届きようもなかった。
「お前は背が低いなあ、チビだな〜〜」
とバカにしたように笑いながら私の頭をワシャワシャにした。

いつもこうやっていやがらせをしてくる。バカにしてきたりとか。
本当にムカつくし私のことが嫌いなのかなと大分思うが、本当に嫌いな人間に対して彼は話しかけないため、そうでもないのか、でも多少は嫌われているのでは?と思う。

ドカドカと彼の胸を拳で打つ。
「かえして!!!」
結構しょっちゅうこういうことをやられると流石にうんざりしてくる。
小学生の時、姉とその友達にもこういうようなことをされたのを思い出す。
私を真ん中にして、円になって、何か私のものを回すのだ。私に取れないように。
私は昔から恐らく「いじめられっ子」タイプだったと思う、そしてこーいう時にそれをすごく感じる。
ある人は私を『なんかあいついじめたくなるんだよね』と形容した。殺してやろうかと思った。

話が逸れたが絶賛彼のイヤガラセタイム継続中で、私は彼の足を踏んだり、身体を叩いたり笑いながらくすぐったりしてみせたが、彼はちょっと痛がったり愉快そうに笑ったりするだけで、ただ遊んでいるみたくなった。
端から見ればのどかに子供みたくじゃれているように見えるかもしれないが、私は不快だった。
笑っていたけど怒ってもいた。

しばらくそうした攻防を繰り広げていると、リーダーが通りかかり、
「……何しているんだ?」
と言った。
彼はその言葉で一瞬固まった。
「えっああ、いやこれはその………」
とかなりしどろもどろになる。
割と慌てやすかった。
リーダーは私を見てから、
「お前のか?……返してやれ。」
と彼に言った。
彼もリーダーには逆らえないようで、大人しくスマホを返してくれた。
「あまり意地悪するなよ。」
と言って去っていった。
すごい威厳というか圧力というか威圧感だなと感心していると、見るからに彼がショボンとしている。
メンタルが豆腐らしかった。

「ヘコむのは許さなインザミラーッッ」
といって茶化すと、
「へ、へこんでなインザミラーッッッ」
と負けじと返してきたので、二人でしばらく笑った。





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