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天候は冬、時々───春。
既に双子岬は見えなくなっていて晴れていた空からは白い雪が舞っている。
外ではナミに言われるがまま雪かきをしているサンジと元気に遊びまわるるルフィとウソップ。ゾロは岬を出てからずっと寝続けていた。
「寒い無理寒いダメ寒い死にそう」
「あんたさっきからそればっかりね」
「・・・ダメなのよ、寒いの」
寒さが大の苦手で厚着をした上に毛布をかぶりキッチンで丸まっているノエルと、その横に謎の2人がいる。
「な、なんだ」
「寒いですね」
「そ、そうだな」
「そ、そうね」
それだけ言ってテーブルに突っ伏した。
ナミは雪や急に鳴りだした雷で偉大なる航路の天候の異常さに驚きを隠せない様子。そんな時女の方が舵は大丈夫なのかと聞く。確認したばかりだと指針を見たナミだったがが途端に顔を青くして部屋を飛び出して行った。
「180度船を旋回!!急いで!!」
「180度!?なんで引き返すんだ」
「忘れ物か?」
慌てるナミとのん気な船長達だが、船が逆走してしまっていると伝えればすぐに持ち場へと動き出した。
「あんたらも手伝え!!」
「うおっ!!」
「ノエルも早く!!!」
全く動こうとしない2人は蹴りだされ、ノエルは毛布を取り上げられ手を引かれる。
次々に飛ぶナミからの指示で慌ただしく駆け回りナミも全く安定してくれない天候に手を焼いていた。しかしそんな中で全く動じない男が1人。
「積まで寝るってどうなの・・・」
岬を出てからずっと寝たままでいるゾロだ。仕事を手伝いながらノエルが起こそうと試みたが彼が起きることはなかった。
やっと天候が落ち着いた頃には皆疲れ甲板に倒れ込んでいて、その頃やっとゾロが起きてきた。
「よく寝る人ね〜」
「うっせ・・・・・・誰だ」
「初めまして」
見知らぬ顔に警戒心をむき出しにするゾロにノエルが岬でのことを話すとその警戒はすぐに解かれた。これにもノエルは拍子抜け。恐らくこの船で一番警戒心が強いはずのこの男がルフィから話は聞いていると乗船を許したのから。
「・・・・・・何でお前らがこの船に?」
次にゾロの目に止まったのは岬で出会ったあの2人。何も知らないゾロの問いに答えてくれたのは1人元気でいる船長だ。
「今そいつらの町へ向かってるんだ」
「まさか送ってやってんのか?何の義理があるわけでもなし」
「うん、ねぇよ」
顔をしかめたゾロだったがそれ以上は何も言わず、代わりに2人組の前に座るとニッっと笑い牽制するように話した。
「おーおー悪いこと考えてる顔だ」
(君の顔も負けていないよ)
男はMr.9、女はミス・ウェンズデー。
冷や汗を流していることからまさに悪いことを考えていますと言っているようなものだ。
「そう・・・どうもその名を聞いた時から引っかかってんだおれは。どこかで聞いたことがあるようなないような・・・!!」
ゾロの後ろに夥しいオーラーを放ちながら近づく影。
「まあ、いずれにし・・・ろ!!!」
ガツンと音がするほどの力でゾロの頭を殴ったナミだ。せっかくの可愛い顔がまるで般若のよう。
「あんた、今までよくものんびりと寝てたわね!起こしても起こしてもグーグーと・・・・・・!!」
「あぁ!?」
船がどれほど大変だったかなど知らないゾロは喧嘩腰にナミを見上げてしまい更なる制裁を受ける羽目になった。
(ある意味最強なのは航海士か・・・)
「気を抜かないでみんな!!まだまだ何が起こるかわからない!!今やとこの海の怖さが理解できた!この私の航海術が一切通用しないんだから間違いないわ!!」
なんて自信満々に言うナミの言葉で船内には一度重い空気が漂うが、前方に見えてきた島の影に空気は一変、全員の顔に笑顔が戻った。
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