雨のち、曇りのち、晴れ | ナノ


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「知るかそんなの!」
「は?」
「おれは仲間にするって最初から言ってたじゃねェか!」
「その頃から私は海賊やってたでしょうが」
「知るか!おれはお前を仲間にするって決めてたんだ!!」


思った通りだったとノエルは頭を抱えた。こういうところは10年前と何も変わってない。一度言い出したら意見を曲げない、彼はそういう奴だ。さらにルフィはシャンクスがダメだと言うのなら戦って奪うと言い出した。


「ノエル!」


ルフィはそう言っているがいくら船長でも仲間達が拒否すればこの船に乗ることはできない。そう思いノエルがルフィの仲間たちの方を見れば彼らが口を開いた。


「ルフィが探してたのってその人?」
「そうだ!」
「よかったじゃねぇか、早くに見つかって。一緒にスタートできるな!」
「こんなに綺麗なレディだったなんて、幸せだおれは〜!!」


何を言っているんだろうか。彼らの一人でも拒否してくれればと思っていたのにすでに乗船を許可しているようなその口ぶりにノエルは拍子抜けしたような顔をする。そして確かめた。


「君達は私が仲間になることを良しとするの?」


そう確認すればそれぞれが顔を見合わせて首を縦に振ったのだ。


「ルフィが決めたことに私達が意見したところでそれは意味のないことだもの」
と、航海士のナミ。

「航海士はナミじゃなきゃ嫌だっつって追いかけてったもんなー」
と、長鼻狙撃手のウソップ。

「断ることを断るっておれの時も同じこと言ってたな。あの剣士もダメだとは言わねェだろ?いや、おれが言わせねェ」
と、コックのサンジ。


言葉が出なかった。とてもルフィのことを理解しているようで信頼関係も築けているらしいが船長が船長なら仲間も仲間だ。ノエルは諦めたと言うように大きく息を吐いた。


「ルフィ、1つだけ条件があるの」
「なんだ」
「私が船を離れたいと言ったらその時は何も言わずに許可を出してほしい」
「なんだよそれ!離れる必要なんてないだろ!」
「あるの。私は彼の仲間でもあるのよ?」
「・・・・・・戻ってくるって約束するならいいぞ」
「約束はでき」
「やだ!」


そう言ってノエルを抱きしめた。いや、しがみついたの方が正しいだろうか。


(同じようなことあったな〜)


赤髪の船がルフィが住んでいた町を起点に航海をしていた時、一度だけ今回は残ってくれと我が儘を言ったことがある。その時もこうしてしがみついて離れず結局その時は町に残ったのだ。
それを思い出したノエルはもう「わかった」としか言えなかった。


「約束だからな?」
「わかりました」



ログも溜まりいよいよ新たな冒険へと出航する時間だ。


「いいのか、赤髪は」
「大丈夫よ、相手はルフィだもの。船を離れるときに『海賊の掛け持ちやってみようかな』って言ってあるから」
「なんだそれは」


許すとは言われていないがシャンクスとその仲間達ならきっと笑って許してくれるだろう。だって船長は自由で陽気な人で、その彼が大切な帽子を託した子の船に乗るのだから。


「よーッし!ノエル行くぞー!!」
「はーい。さて、行ってくるよ」
「ほれ、いつものだ。今回は少し多めに作っておいた」
「ありがとう」
「いいか?それはただの気休めにしかならん。使いすぎればいづれそれも効かなくなるぞ」
「ん、わかってる」


クロッカスが渡したのはノエルにとって欠かすことのできない大事な薬だ。


「あまり、無茶はするんじゃないぞ」
「うん」
「気を付けてな」
「うん、行ってきます!」


船はクロッカスとラブーンに見送られて双子岬を離れていく。
向かう先はラブーンのは腹の中で出会ったと言う謎の2人が送ってほしいと言ったウイスキーピークという町だ。
ラブーンの命を狙っていたらしいのだがそんな奴らまで乗せてしまうルフィにちょっと不安になるノエル。だが、彼がいいと言うんだからいいのだろう。

ここから麦わら海賊団の旅が始まったのだ──





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