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「オイ、生きてるかルフィ!!」
麦わらの一味が顔を出したのはレインディナーズの裏側にあたる場所だった。
「ったく、能力者ってのは厄介なリスク背負ってんな・・・ノエルちゃんは無事か!?」
「ウソップさんしっかり!!
「まったく何やってんのあんた!?しっかり泳ぎなさいよっ!!」
岩に頭をぶつけて気絶しているウソップをビビとナミが引き揚げ、少し遅れてゾロとノエルが顔を出す。2人の手にはスモーカーも一緒にいた。
「うわっ!!スモーカー!!おいおいゾロテメェ何敵連れてきてんだよ!!」
「うるせェ不本意だよ・・・どうせくたばり損ないだ」
「スモーカ君しっかりして!」
息を整えながらスモーカーの心配をしているのは同じ能力者であるノエル。その様子を見た仲間達はみな同じことを考えているだろう。彼女はなぜ無事なのかと。それを代表してナミが言葉にする。
「何であんた無事なのよノエル!」
「あー・・・あはは」
今はゆっくりと話している時間はない。ノエルは困ったように笑って言った。
「全部終わったら、ちゃんと話すからね」
だいぶ時間をロスしてしまったため自分たちの足で向かったのでは間に合わない。するとサンジがナミに香水をつけるようにと言う。ナミが言われた通りにすれば案の定サンジは目をハートにしてメロリンモードに入った。
「マジでイッちまえお前」
「どうして君はいつもいつも」
「ロロノア!!!」
会話を遮ったのはスモーカーによる突然の攻撃だった。ゾロは自分の隣にいたノエルを引っ張り自分の後ろに回すと刀でそれを止める。
「なぜおれを助けた」
敵でしかも海軍と言う面倒な肩書の彼を助けた理由、それはルフィに言われたからだった。放っておいたら死んでしまうから助けろ、と。何を思ってルフィがそう言ったのかはわからないが、船長命令となれば従うしかなかった。
「船長命令を聞いただけだ・・・別に感謝しなくてもいいと思うぜ?こいつの気まぐれさ、気にすんな」
「・・・じゃあ、おれがここで職務を全うしようと・・・文句はねェわけだな?」
「バカね、させるわけないじゃない」
そう言ったノエルの後ろでルフィとウソップが目を覚ました。
「ッア────シ!!!野郎どもアルバーナへ一目散だっ!!!」
「クロコダイルはどこだーーっ!!!」
「うおっ!!けむりっ!!やんのかお前っ!!!」
そう言って構えるルフィを見たスモーカーは彼をじっと見て考えていた。目の前にいるこの男はどこまで本気なのかと。
少しの沈黙の後スモーカーは静かに言った。
「・・・・・・行け」
「ん?」
「だが今回だけだぜ・・・おれがてめェらを見逃すのはな・・・」
「ふふっ」
「・・・・・・次に会ったら命はないと思え、麦わらのルフィ・・・」
海兵達がすくそこまで来ている。仲間達はすぐに走り出したのだがルフィとノエルはそこに留まったまま。するとルフィはスモーカーを見るとニッと笑って言うのだ。
「おれ、お前のこと嫌いじゃねェなァー、しししし!!」
「さっさと行けェ!!!」
「うわっち!!!ノエル行くぞ!」
「すぐに追うから先に行って。お願い」
「・・・・・・わかった、すぐ来いよ!」
いつもなら「何でだ」と言うルフィがこの時は何も言わず許可をし仲間の後を追って行った。
「君に聞きたいことがあるんだ、スモーカー君」
「なんだ・・・」
「話の前に、海兵君達をどうにかしてくれないかな」
「・・・今回だけだぞ」
「ありがとう」
この時、先に行ったルフィ達にクロコダイルが迫っていた。ビビを捕まえようと現れたクロコダイルから彼女を守りルフィが1人残ってクロコダイルと戦うことになっていたことをノエルは知らないのだ。
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