雨のち、曇りのち、晴れ | ナノ


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ルフィの言葉にもう一度立ち上がったビビの相手はバナナワニだ。図体の割に動きが早くやはり全く歯が立たないビビにバナナワニが再び襲いかかろうとした時だった。


「・・・・・・連絡が・・・」


ミス・オールサンデーが持っていた電伝虫が鳴りそこからは聞き覚えのある声が聞こえてきた。


(え〜〜こちら・・・クソレストラン)


麦わら海賊団コックのサンジだ。サンジの存在はクロコダイルには知られておらずチョッパーもまだ外にいる。それを思い出したビビの表情に希望が戻ってきた。


「てめェ一体何者だ・・・・・・!!」
(おれか・・・・・・おれは・・・Mr.プリンス)
「そうかMr.プリンス・・・今どこにいる」
(・・・そりゃ言えねェな。言えばおめーおれを消しに来るだろう?まァ、お前がおれに消せるかどうかは別の話で易々と情報をやる程おれはバカじゃねェ・・・お前と違ってなMr.0」


ただの挑発でしかないその発言にクロコダイルの顔には青筋が張る。
その後ろではルフィ達が受話器の向こうにいるサンジに助けを求め始めるのだが、再び聞こえてきたのは一発の銃声とサンジではない男の声だった。


(もしもし?!ハァハァ・・・捕えました、この妙な男をどうしましょう)


サンジがやられてしまい希望が断たれたと騒ぐルフィ達だがそれを横目にノエルとスモーカーは冷静で、それぞれ新しい葉巻と煙草に火をつける。
場所はレインディナーズの正面の門。これがサンジによる罠だとも知らずクロコダイルはその場所へ向かおうとする。すると突然バナナワニが動きだし階段を噛み砕いた。その先にはビビがいて砕かれたギリギリのところになんとかぶら下がっている状態でいた。


「この部屋に水があふれるまでまだ時間がある!!外に助けを呼びに行くわ!!」


しかしそれを阻もうとするクロコダイルがビビを落とそうと鍵手を伸ばす。それがビビの首にかかった、その時だった。


「なんだ!?」


突然強い風が吹きその鍵手はクロコダイルの元に戻され、ビビは階段の中ほどまで移動させられた。そして彼女の側にはもう1人。


「この子には触れないでと・・・言ったはずよね」


ノエルがいたのだ。これにはずっと黙っていたスモーカーも目を大きくして驚いていた。


「何をした・・・能力者のお前がなぜ出られる・・・!!」
「話す必要はないでしょう?」


檻の鍵は開いておらず壊れた形跡もない。一体何をして外に出たと言うのか、それを知るのはノエル本人だけだ。


「テメェ・・・・・・ッ!!」
「Mr.プリンスを連れてくるんでしょう?それとも、本当に私が殺してあげましょうか」


彼女の纏う空気の冷たさとその目つきにクロコダイルの額には冷や汗がにじみ小さく舌打ちをすると足早に部屋を出て行った。
それからすぐノエルはサンジを連れてくるようにとビビを外に向かわせノエルは自分を睨みつけているバナナワニとルフィ達がいる檻を見た。水槽にはバナナワニの群れ、そのバナナワニによる攻撃の衝撃でひび割れたガラス、そして水が溜まっていく部屋。ノエルが考えているとずっと黙っていたスモーカーが口を開いた。


「お前は一体何者なんだ、ノエル」
「おい!今はそんなこと話してる場合じゃねェだろ!?」
「お前らは何も思わねェのか・・・そもそもあの女が能力者だってことも知らなかったようだが・・・・・・」
「な、なによ!」


スモーカーは一度ノエルと目を合わせた。


「あの女は世界せ」
「スモーカー君・・・」


何も言わないノエルを見て話を続けようとしたのだがやはりノエルが止めた。


「今はゆっくり話をしている時間なんてないんじゃない?このままじゃ君も死ぬことになるのに」
「・・・・・・そうだな。で?どうすんだ」
「ハッ!そうだ!ノエル急いでくれ!!」
「・・・檻から出るのはサンジ君が来るまで待って」
「何でだよ!!」
「君達暴れるでしょうが!」


そうなればガラスが割れるだけでは済まずビビが戻ってくる前にここは水に沈んでしまうと考えたからだ。


「溺れて死にたいの?」
「死にたくありません、助けてください」
「よろしい」



そう言ったノエルは自分の腰にある刀『黒夜』に手をかけた。





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