雨のち、曇りのち、晴れ | ナノ


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「国の雨を奪ったのは自分だ」
ナノハナに現れた国王の言葉により反乱軍が怒声を上げ始め、今まで信じていた国民達までもが王を疑い武器を取り始めている。国中が怒り反乱軍が総攻撃の準備を始め、それを迎え撃つと決めた国王軍。


「どうだ、気に入ったかねミス・ウェンズデー。君も中程に参加していた作戦が今花開いた・・・。耳を澄ませばアラバスタの唸り声が聞こえてきそうだ!!」


両手を広げ笑いビビに聞かせる。国民はおれ達がアラバスタを守るんだと動く。だがその気持ちが今、国を滅ぼそうとしているのだと。これ程に『外道』という言葉が合う者が他にいるだろうか。誰よりも国を思う気持ちが強いビビは拳を強く握った。


「・・・フフ・・・思えばここへ漕ぎ着けるまでに数々の苦労をした・・・!!」


聞きたくもないそれをクロコダイルは勝手に語りだす。社員集めに始まりダンスパウダー製造に必要な銀を買うための資金集め、滅びかけた町をあおる破壊工作に社員を使った国王軍濫行の演技指導をしてきた、と。


「じわじわと溜まりゆく国のフラストレーション、崩れゆく王への信頼・・・!!なぜおれがここまでしてこの国を手に入れたいかわかるか、ミス・ウェンズデー」
「あんたの腐った頭の中なんてわかるもんか!!!」


そう吐き捨てたビビはイスごと倒れ込み縛られたままの体を動かし始めた。


「オイオイ・・・どうした、何をする気だミス・ウェンズデー」
「止めるのよ!!!!」


反乱軍よりも早くアルバーナへ回り込めば止められる可能性はまだあるからと体を引きずる。諦めるわけにはいかないのだ。ルフィ達もそんな彼女を助けてやりたいと思っているだろうが檻の中では何もできず、ただ見ていることしかできない。
この状況を鼻で笑ったクロコダイルがまた口を開いた。


「お前は何のためにこいつらといるんだ?話を聞いた時点でどうにでもできただろう・・・なァ、ノエル」
「・・・ノエルがなによ」
「お前の力があれば反乱は止められただろう。おれを殺すことだってできたか。なぜそれをしなかった?」
「え・・・?」
「どういうことだ!?」


クロコダイルの言葉にルフィ達は困惑した。彼女の『力』とは何のことなのか。ノエルが強いであろうことはリトルガーデンで知ったが、それが七武海であるこの男を殺せるほどの強さなのか。


「フゥー・・・・・・」


その場にいる者の視線がノエルに集まると彼女は静かに煙草の煙を吐き出してやっと口を開いた。


「そうね。君を殺すなんて私には簡単なことね」
「えええ!?ちょっとノエル!?」
「お、おまえ・・・相手は七武海だぞ!?あんまり挑発しねェほうが・・・」


ウソップがそれ以上はやめろとノエルとクロコダイルとの間に入るように立つが、ノエルは立ち上がるとそれを避けてクロコダイルへと歩み寄り更に続けた。


「でも、私がすることじゃないわ。国を救うこともそう。ましてや神様や英雄じゃないんだもの」
「・・・・・・」
「何のためにここにいるかって?ビビのことを支える為よ」


ノエルのその言葉にビビは目を大きくしルフィ達は笑顔を見せた。


「国を救おうと戦うビビを、そしてそれを助けようとするこの子達を守るために私はここにいるの」
「ハハハハハ・・・!戯言を抜かしてくれるぜ」


檻の中で身動きを取れない奴が誰を守れると言うのか。クロコダイルは胸ポケットからルフィ達がいる檻のカギを取り出すと床に開いた穴に落とした。


「お前の自由さ・・・ミス・ウェンズデー」


反乱軍と国王軍の激突はまだ避けられるかもしれないがそれまでの時間はあと8時間しかない。今からアルバーナへ急いでもそれ以上はかかる道のりだ。反乱を止める為には今すぐにここを出なければならないが、そうすれば仲間達はこのまま殺されてしまうことになる。
しかし鍵は床の下に落ちてしまったし、そこはバナナワニの巣。


「あっ!!」
「おいどうしたビビ!!」
「バナナワニが檻のカギを・・・飲み込んじゃった・・・!!」
「追いかけて吐かせてこの檻開けてくれビビ〜!!」
「無理よ私には!!」

それでもここにはビビしかいない。
反乱を止められるのも、ルフィ達を助け出せるのも、今はビビだけなのだ。





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