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「クロコダイルのいる『レインベース』と言うオアシスはここ、今いるユバから北へまっすぐ、まる1日砂漠を歩くわ」
ビビが落ち着いたところで地図を見ながらレインベースへのルートを確認する。クロコダイルのいるその場所は反乱とは無縁のギャンブルの町だ。
その横ではルフィがトトからもらった水を持ち腕を四方八方に伸ばして水を飲ませろと言うウソップからそれを守っていた。
「一口くらい飲んだっていいじゃねェかよ・・・。せっかくもらった水だろう・・・・・・!!」
「だめだ」
「よこせ」
「だめだ!ゴムゴムのダメだー!!」
トトが一晩中かけて掘ってくれた水だから簡単に飲んだらダメなんだと、珍しいことを言うルフィにナミは我慢もできるのだなと感心していた。
そんな仲間達を横目にノエルはフードを深くかぶり歩き始める。
「おい、ノエル」
「んー?どうしたの」
「そりゃこっちのセリフだ。しんどいんだろ」
今までに比べると口数も少なくフードは前が見えているのかと言うほど深くかぶっているノエルの様子にゾロが心配して声をかけた。しかしノエルは何も言わずただ歩く。
「お前もラクダに乗せてもら」
「大丈夫よ。ありがとうゾロちゃん」
「ったく・・・」
言葉を遮られてしまったゾロはそれ以上何も言えなかったがそのまま彼女のペースに合わせて横を歩く。そんな彼なりの気遣いにフードの下ではノエルが微笑んでいた。
砂漠の日が沈みそしてまた昇る。B・W社のある作戦が決行されるまであと1時間と迫ったころ砂漠を歩き続けてきた麦わら海賊団の視線の先にやっとレインベースが見えた。クロコダイルをぶっ飛ばすとやる気満々に叫ぶルフィ。ウソップとチョッパーはとにかく水が飲みたいようだ。
「・・・そうだウソップ、頼んどいたアレできてる?」
「水ー!」と大きな口を開けているウソップにナミが聞く。するといつも持ち歩いているカバンから『天候棒(クリマ・タクト)』というナミ用の武器を取り出した。それはナミがビビのために自分も戦いたいからと作ってもらったものだ。
「3つの棒の組み方でなんと攻撃が変わるんだ」
「へーっ、すごい」
「オイお前、ナミさんにあんまり危ねェもん持たすんじゃねェぞ?別にたたかわなくたってナミさんとビビちゃんとノエルちゃんはこのおれが守るんだからよっ!!プリンスって呼べ!!」
「プリンス」
ウソップが武器の説明を始める中、「ははっ」と笑うサンジにゾロとノエルの声が重なった。
「ぶっ飛ばすぞてめ・・・え・・・!?」
時すでに遅し。サンジが振り返った先にはフードで顔の見えないノエルとその横でニヤニヤと笑うゾロがいる。あんぐりと口を開けたサンジの口から煙草が落ちるのを見たゾロがノエルに言った。
「呼べっつったのアイツなのにな。ぶっ飛ばされるぞお前」
「テメェに言ったんだよクソマリモ
「・・・サンジ君ったらひどい子」
「ノエルちゅわん!?」
レインベースに入るなりルフィは水を求めて走り出す。それを追って走り出そうとしたウソップにナミがお金を渡し全員分の水を買ってくるように頼んだ。残ったノエル達は目立たない場所へ移動し体を休める。ルフィ達が戻り次第、クロコダイルのいる場所へ向かうのだ。
「あいつらに任せて大丈夫かな」
「お使いくらいできるでしょ、平気よ」
「またトラブル背負って帰ってくんじゃねェのか?」
トイレに行くとチョッパーが離れてから少しした後で付近が騒がしくなってくる。ゾロの行った通り、樽を持ったルフィとウソップが海軍に追われていたのだ。
「ウソでしょう!?で、何でこっちへ逃げてくんのよ!!」
「おいみんな!!海軍が来たぞォ!!!」
満足に休憩もできず結局水分補給もエネルギー補給もできないまま追いかけっこが始まる。今度は海軍に加え町には麦わら海賊団の顔写真を持ったB・Wの社員達が暗殺の為彼等を狙っているのだ。
「散った方がよさそうだぜ」
「そうだな」
「よしっ!!じゃあ後で・・・!!『ワニの家』で会おうっ!!!」
ルフィの言葉を合図に一味は散り散りに走り出した。
「とりあえず着替えよう・・・」
仲間達と別れた後敵からうまく逃げたノエルは踊り子の衣裳では落ち着かず適当な店に入ると上下黒の服を購入しそれに着替える。またローブを羽織るとビビの気配を追った。
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