雨のち、曇りのち、晴れ | ナノ


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翌朝、まだ太陽が昇り始めたばかりの頃。トトがルフィに小さな樽に入った水を渡した。
ルフィが掘りながら眠ってしまった直後に湿った地層までたどり着いたらしく、それを蒸溜して水を絞り出してくれたのだ。


「おおーッ!なんか難しいけどありがとう!大切に飲むよ!!」


難しいことは分からないがトトが苦労してその水を用意してくれたこと、その水がこの砂漠でどれだけ大切なものなのかはわかるルフィ。水筒を首にかけたルフィはそれをしばらく両手握っていた。

一行はトトに手を振りユバを出発する。今まで歩いてきた道を戻りカトレアという町へ向かわなければならないのだが、ルフィが突然歩くのを辞めて座り込んでしまった。
「やめた」
その一言にビビは戸惑いクルーは怒る。いつもなら声をかけに行くノエルはその様子を黙って見ていた。


「おいルフィ!こんなところでお前の気まぐれに付き合ってるヒマはねェんだぞ!!さァ立て!!!」
「戻るんだろ」
「そうだよ。昨日来た道を戻ってカトレアって町で反乱軍を止めなきゃお前、この国の100万人の人間がえれェ事態になっちまうんだぞ!!!ビビちゃんのためだ!さァ、行くぞ!!!」


サンジの言葉にも立とうとはせず「つまんねぇ」と言うとまっすぐにビビを見た。


「・・・・・・ビビ、おれはクロコダイルをぶっ飛ばしてェんだよ!!!」


その言葉を聞いたノエルはそっと目を閉じた。
反乱軍を止めてもクロコダイルは止まらないし、自分達海賊がカトレアへついても何もすることはない。既に100万人が動き出している七武海が相手のこの戦いで、ビビは国民も自分達も皆が無事ならいいと思っているがその考えは甘いんじゃないか。
ルフィはちゃんと気づいていたのだ。


「何がいけないの!?人が死ななきゃいいと思って何が悪いの!!?」
「人は死ぬぞ」


その言葉にビビがしびれを切らしルフィの頬を思い切り叩いた。悪いのはすべてクロコダイルなのにどうして誰かの命が犠牲にならなければならないのか。そう言ったビビをルフィは拳で殴った。


「じゃあ何でお前は命賭けてんだ!!!」
「おいルフィ!!やりすぎだ!!!」
「てめェルフィ!!!」


女のビビを殴るなんて行為をサンジが許すわけもなくすぐに2人に駆け寄ろうとするがずっと黙っていたノエルが止めた。そんな彼女の顔を見てサンジが目を丸くした。


「大丈夫よ」


その顔には優しい笑顔があったから。


「じゃあ一体何を賭けたらいいのよ!!!ほかに賭けられるものなんて名私何も・・・!!!」
「おれ達の命くらい一緒に賭けてみろ!!!仲間だろうが!!!!」


その言葉にビビの目からようやく涙が流れたのだ。今までずっと我慢していた決して見せることの涙。誰よりも悔しくて誰よりもクロコダイルをぶっ飛ばしたいのはビビ本人なのだ。


「教えろよ、クロコダイルの居場所!!!」


自分達が一番にやらなければならないこともビビが思っていることもルフィはちゃんと分かっていた。言い方ややり方は少し乱暴だったが仲間を思うからこそのことなんだろう。普段はおちゃらけていてバカだが彼は一味の船長なのだ。
昨晩考えていたことをどう伝えようかと思っていた矢先に起こったことだった。だからノエルは笑っていたのだ。自分が悩むまでもなかった、と。


「ビビ」
「ノエル・・・あんた最初からこうなることわかってたんでしょ」
「まさか。でも、私も同じことを言おうと思ってたわ。殴るつもりはなかったけど」


そう言って笑ったノエルはビビの両頬を包み自分の方を向かせて言った。


「思う存分泣いときなさい。この先は泣いてるヒマなんてないわよ」
「ノエルさん・・・」
「大丈夫、私が付いてる。みんなが付いてる」
「・・・・・・っはい!」


行先変更。
向かうは黒幕、クロコダイルのいるレインベースだ。





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