雨のち、曇りのち、晴れ | ナノ


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「ルフィだめよ追っちゃ!!あんたここへ戻って来れるの!?」


私はさっき彼になんと言っただろうか。確か「もっと慎重に動け」と言ったはずなのだが自分たちの荷物を持ったワルサギを見つけたルフィはウソップとナミちゃんの言葉も聞かず追いかけて行ってしまった。


「うううわあああ〜〜〜っ!!!」
「今度は何だァーッ!!!」


戻ってきたかと思えばサンドラオオトカゲとか言うでかいトカゲを引きつれていて、これにはゾロもサンジ君も呆れていた。
それからルフィを含めたその3人が同時に攻撃をすればトカゲはピクリとも動かなくなり私達の食糧へと変わるのだ。


「トラブルメーカーめ・・・!」
「いちいち怒ってたらもたねェぞ」
「・・・私はあの子に付いてきた君達を尊敬するわ」


肉が食えると笑って喜ぶルフィとウソップ達を眺める。彼等といればルフィがどれだけ仲間達から信頼されているか、ルフィがどれだけ仲間を大切に思っているかはおのずと伝わってくる。ただ彼は、行動力と好奇心が飛びぬけているだけだと考えればこういったトラブルも笑えるだろうか。
私に出会う前にもきっとたくさんのトラブルだのハプニングだのがあったに違いない。それでもルフィと一緒に行こうと思えるのはそれに勝るものをルフィが持っているからなのだろうが。
ああ、なんだか頭がボーっとしてきた。


「おい、お前も食っとけ。まだまだ歩くんだ」
「んー・・・」


ゾロが持っていた肉を差出してくれるがとても食べる気になれず、私はそのまま体を倒しゾロの膝を枕にして横になった。


「あ?・・・お前顔色が」
「ぬおおおお!!!おいテメェ誰の許可を得てノエルちゃんを膝枕なんぞしとるんじゃあああああ!!!」
「サンジ君うるさい黙って」
「そんな・・・ノエルちゅわん・・・あれ、顔色が悪くねェか?」
「おいチョッパー!ちょっと来てくれ!」


私としたことが脱水症状を起こしてしまったようで、水分補給をし少し休むようにと言われてしまった。
今まで自分の足でこんなに長距離を移動したことはなかったし、それに加えこの暑さ。さらにはドラムまでの航路で使った能力のせいで消耗した体力がまだ戻りきっていないのだ。


「ノエル・・・」
「んー?・・・どうしたの、ルフィ」
「ごめんな。おれが水飲みすぎたり荷物盗まれたりしちまったから・・・」


驚いて閉じていた眼を開ければルフィが心配そうに、申し訳なさそうに私を見下ろしていた。驚いているのは私だけじゃないらしい。みんなが目を大きくしてこちらを見ているのだから。


「君のせいじゃないよ」
「でもよ・・・」
「これは私の自己管理の問題だからルフィが謝ることじゃないの。だからそんな顔しないで」
「・・・・・・」
「ルフィ、少し休ませてやれ」
「ねェルフィ、少し仰いでいてくれない?」
「・・・!まかせろ!」


再び目を閉じると優しい風が送られてくる。私はそのまま少しだけ眠ることにした。



「どうしたのこの子」
「さっきのトカゲと一緒にルフィが連れてきたんだと」


ゾロに起こされて目を覚ましたらそこには鼻血を出しているラクダがいて、ルフィやサンジにアホだのボケだのタコだの言われたい放題。なんでも女しか乗せないエロラクダなんだとか。
『マツゲ』と名付けられたその子にまずはナミちゃんが乗り、そして彼女の視線が私に向いた。


「ノエル!乗って!」
「んー?私は大丈夫よ、ビビが乗りなさい」
「でもノエルさん体調が・・・」
「ゾロちゃんの膝枕でルフィに仰いでもらってたのよ?もう大丈夫!」
「じゃあノエルちゃんはおれがだっこしてあげるよ〜おほほ〜」
「・・・・・・サンジ君もこう言ってくれてるし、一番体力を温存しておかないとなのは君だよ、ビビ」
「・・・辛くなったら言ってくださいね?」


こんなの時まで他人の事を優先して、この子のお人好しは心配になるほどのものだ。
ラクダにはナミとビビ、他は今まで通り歩いてユバへと向かう。ナミは容赦なくマツゲを走らせた。


「本当に大丈夫なのか」
「うん、君たちのおかげで快適に休めたから。ありがとう、ゾロちゃん」
「お前な、その呼び方いい加減やめてくれねェか」
「あら、返事してくれるようになったからいいものかと」
「よくねーよアホか」
「おいマリモ!お前今ノエルちゃんにアホッつったか」
「・・・何でお前はそう毎度毎度首突っ込んで来るんだよエロ眉毛!!」
「ケンカしない!ほらサンジ君、走れ!!」
「うわっ!?ちょ、ノエルちゃん!!?」


サンジ君の背中に飛び乗れば驚きよろめきながらも私の体が落ちないようにしっかりとキャッチしてくれたサンジ君。後ろにいるゾロを振り返り置いて行くぞと笑えば彼は呆れたように笑って付いてきた。





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