雨のち、曇りのち、晴れ | ナノ


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アラバスタに入った一行は砂漠を越えるために必要な食料と町に馴染むための着替えの調達の為にナノハナという町へ立ち寄った。本能での行動は慎むようにとナミが話すのを聞かず仮にも船長で賞金首であるルフィが町へと消えて行ってしまった。


「あいつにはもっと自分が賞金首だってことを自覚してほしいのよね、こういう大きな国では特に・・・!!」
「放っとけ、どうにでもなる。とにかくおれ達もメシを食おう。考えるのは全部その後だ」


お使いに出るのは組織に顔を知られていないサンジとチョッパーに任せ他は町の隅の人気のない場所で待機をする。しばらくして戻ってきた2人から食料と着替えを受け取り各自早速着替えた。


「お使いを頼んで何だけどサンジさん、これは庶民というより踊り子の衣裳よ・・・?」
「はぁ・・・」


これから砂漠を歩いて越えなければならないし戦闘をすることになるかもしれないと言うのにサンジが買ってきたのは踊り子の衣裳だった。鼻の下を伸ばし目をハートにして気味悪く笑うサンジにはノエルも呆れるしかなかった。


「ほんっとに白いよな〜ノエルは」
「おれの思った通りだ!ノエルちゃんには赤の方が似合うと思ったんだあ〜」
「それはどうも」


ナミやビビの青い衣裳とは逆の赤色はノエルの肌の白さをより際立たせている。普段パンツにシャツとベストという露出のない服を着るノエルのその姿は珍しいもので、更にナミに言われて衣裳に合わせ長い髪を上げているせいでいつもと全く違った雰囲気を出す彼女に一同釘づけだった。


「・・・見すぎよ」
「だって綺麗なんだもん。悔しいくらいに!」
「ええ、本当に綺麗・・・」
「褒めても何も出ないわよ。ゾロちゃんそれ取って」
「ん、ほら」
「ありがとう」
「お前呼ばれ方それでいいのか」


着替え中外していた刀とそれを装着するためのベルト。それを腰に巻いてしまえばせっかくの踊り子が台無しだとナミ。その一方でそれも素敵だと言ってくるくると回るサンジにゾロもウソップも呆れていた。そんな時、ウソップがチョッパーが辛そうに鼻を押さえていることに気付く。


「お前何やってんだ?」
「鼻が曲がりそうだ」
「・・・そうか、トニー君は鼻がききすぎるのね。ナノハナは香水で有名な町なのよ」
「香水?」


元々動物のチョッパーは人よりも鼻が良いためノエル達が微かに感じているものでもチョッパーにしてみればキツイものに感じてしまうのだ。刺激の強いものもあるとビビが話す横でナミが持っていた香水を自分に吹きかければチョッパーは叫びサンジは目をハートにして幸せそうに倒れていった。


「おいでチョッパー」
「ノエル・・・頭も痛くなってきたぞ・・・」
「これ当てておきなさい」


ノエルが水で濡らしたハンカチをチョッパーの鼻にあててやれば少し楽そうにする。この街を出るまでの我慢だからと言えばチョッパーは小さく頷いた。


「とにかくこれでアラバスタの砂漠を越えるための物資は揃ったわけだ・・・ビビ、これからどこへ向かうって?」


着替えと腹ごしらえを済ませた一行はこれからの行動を確認するためにビビに話を聞く。反乱軍を止めるためリーダーのいる「ユバ」というオアシスを目指すと言う話をしたところでゾロがそれを止めた。何かと思えば大勢の海軍が町を走り回っていたのだ。


「何でこの町に・・・・・・!?」


見ればえらい騒ぎようで自分たち以外に海賊が現れたのかと思えば追われていたのは何と自分たちの船長ではないか。


「よう!!ゾロ!!!」
「なにィ──っ!!!?」


ゾロを見つけたルフィは海軍を引きつれたまま迷わず自分の仲間がいる方へと向かって走っていく。厄介なことに海軍集団の先頭に現れたのは自然系能力者であるスモーカーだ。これには自分が出るしかないと仲間達を逃がしノエルが戦闘態勢に入るのだがこの2人の間に1つの声と共に炎が現れた。


「てめェか」
「やめときな。お前は煙だろうがおれは火だ。おれとお前の能力じゃしょうぶはつかねェよ」
「何でこんなところに」
「まさかお前が一緒にいるとはな、ノエル」
「・・・・・・・・・エース・・・・・・!?」
「変わらねェな、ルフィ」


どうやら顔見知りのこの2人。しかし今ゆっくり話している暇などなくこの場は自分にまかせて逃げろと言う男。ルフィが「行くぞ」と叫べば全員が船へと走り出した。


「ノエルはエースを知ってんのか!?」
「話はあと!今は走って!!」
「そうだな!行くぞー!」
「ちょっと!?」


ルフィはノエルの手を取ると仲間たちの後を追い船へ向かう。


(今、ノエルって言ったか・・・!?)


エースの後ろを走るノエルの後姿をスモーカーがじっと見ていたことにノエルは気づいていながらも彼女は振り返ることはせずそのまま走り続けた。





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