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甲板ではルフィ達がオカマで変身するMr.2に会ったんだと興奮気味に話していた。マネマネの実の能力で姿かたち声までも本物そっくりに変身してしまうらしく、その対策としてクルー全員が印をつけることになった。
「とにかくしっかり締めとけ。今回の相手は謎が多すぎる」
「なるほど」
「これを確認すれば仲間を疑わずに済むわね」
左腕にバツ印を書きその上に包帯を巻く。包帯を取りバツ印を見せることで仲間であることを確認する二段階のそれはゾロが考えたものだ。
「ノエルー、やってくれー」
「はいはい」
ノエルは自分の前に出されたルフィの腕に印を書き包帯を巻いてやる。
「ノエルにはおれがしてやるよ!」
「できるの?」
「できる!」
印が隠れればいいだけのそれを真剣に巻くルフィにノエルが笑えば口をとがらせて動くなと怒る。不器用ながらもノエルの腕には包帯が巻かれた。
「ありがとう、ルフィ」
「にっしし」
「あんな奴が敵の中にいるとわかるとうかつに単独行動もとれねェからな!!」
「んー・・・?」
じっとゾロを見つめるノエルとその視線に気づいたゾロ、2人の目が合うとノエルが言った。
「本物?」
「斬るぞてめェ!!」
「おいマリモ!お前ノエルちゃんに向かってなんてこと言うんだコラァ!!!」
「うるせェなエロがっぱ!!」
「本物ね」
「ああ、本物だ」
そんなことをしているうちにメリー号は港へと入って行く。全員が集まり円になるとルフィの掛け声で印をつけた腕を前に出した。
「よし!とにかくこれから何が起こっても左腕のこれが仲間のしるしだ」
改めて、仲間の印であるそれを全員で確かめ合った。
「・・・・・・じゃあ、上陸するぞ!!!メシ屋へ!!!あとアラバスタ」
「ついでかよ!!!」
船長の言葉に声が揃う。
仲間たちが上陸の準備を進める中、仲間の印がある腕に嬉しそうに触れたビビ。そんなビビの頭をノエルが優しく撫でて微笑みかければビビも同じようにして笑った。
その頃、港町のナノハナのとある店には人だかりができていた。
店で食事をしていた客が店主と会話をしている途中、まだ料理が盛られている皿に顔を突っ込んでそのまま動かなくなったらしい。旅の男が砂漠のイチゴを口にしたのではと他の客が騒ぎ立てる中肉が刺さったフォークを持った手はピクリとも動かない。砂漠のイチゴの毒がどれだけ強力なものかと話していた時だった。
「ぶほ!!?」
「うわ!!生き返った!!!」
死んだはずの男が突然顔を上げたのだ。
「ん?」
「だ・・・大丈夫?」
「ふう・・・いや〜〜寝てた」
「寝てたァ!!?」
食事をしつつ話をしながら何の前触れもなく突然寝る奴がどこにいるかと怒り半分驚き半分の客たちをよそに食事の続きを始めた男。そして何を騒いでいるのかと言った男に客たちは「お前のせいだ」と声を揃えて怒鳴った。
「よくもぬけぬけと大衆の面前でメシが食べれるもんだな」
そこに現れたのは海軍大佐のスモーカーだ。実は騒ぎの中心にいた男、かの有名な大海賊、白髭海賊団の二番隊隊長“ポートガス・D・エース”である。
これに店内がどよめく。
「・・・・・・弟をね、探してんだ」
これは偶然か必然か。先ほどこの町に上陸したばかりの麦わら海賊団船長、モンキー・D・ルフィがこの店に向かっていたのだ。
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