雨のち、曇りのち、晴れ | ナノ


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「大変だよドクトリーヌ!!ワポルが・・・帰ってきた!!!」
「・・・・・・そうかい」


慌てて知らせに来たチョッパーに対し、くれははとても落ち着いていてそっと目を閉じて返事をするとチョッパーと一緒に部屋を出て行った。


「行っちゃった・・・ワポルって誰?」
「元々この国の王だった人。どうしようもないただのバカよ」
「へぇ・・・・・・ねぇ、ノエル」


毛布をかけ直し体を縮こまらせているノエルにナミが聞いた。


「ノエルは何をしてくれてたの?」
「何って?」
「ずっとそばにいてくれたじゃない?体は辛いはずなのにすごく、心地よかった」


するとノエルは椅子からナミのいるベットに移動しそっとに腰かけてその質問に答えた。


「祈ってただけよ」
「でもっ・・・」
「大事なナミちゃんが少しでも楽になりますようにーって」
「・・・!!」


そう微笑んで頭を撫でると目を丸くしたナミもつられて笑う。そして頭を撫でてくれている手をぎゅっと握った。


「ありがとう。もう一つ、聞いてもいい?」
「どうぞ」
「あの子がノエルに心を開いたってどうして?」


その問いにノエルは少しの沈黙の後「同じだったから、かな」と困ったように笑った。その寂しそうな表情にナミは言葉が出ず2人の間に沈黙が流れる。そこへタイミングがいいのか悪いのかルフィが入ってきたことで話は中断された。


「服!服!服っ」
「どうしたの?外・・・」
「外寒いんだ、俺の服どこ行った?」
「違うっつーの、外で何やってるか聞いたの」
「ああ、ケンカだよ」


そう言いながらルフィは部屋にある箱をあさりだしたが、そんなところから見つかるわけがないとナミとノエルは半ば呆れていた。


「ノエル!」
「いや」
「まだ何も言ってねぇじゃん!!」
「私の使っていいわよ」
「え〜〜〜〜っお前のかっこ悪ィじゃんか」
「あったかければいいんでしょ、文句言わないの」
「ま、そうだな!」


ナミに借りたコートを羽織るとすぐに部屋を出て行った。


「また開けっ放しで・・・」
「あ、ありがとう」
「ついでに外の様子見てこようかな」
「いってらっしゃい」


先ほどの話から逃げるように部屋を出ると一つ大きな爆発音が聞こえてくる。また派手にやってるんだなーと考えているともう一つ爆発音が聞こえてきたことでノエルは駆け足で外へ向かった。


「おれが仲間だ!!!」


外に出ると何故か上着の袖が片方ないほどぼろぼろになっているルフィが上から降ってきてそのまま雪へと突っ込んだ。


「麦わら帽子!!お前大丈夫かっ!!?」
「おれは平気さァ、ゴムだから」
「ゴム!?」


チョッパーはわけがわからないと驚いているが、ルフィにワポルの部下を仕留められるかと聞かれれば敵をキッと睨んでできると言った。


「・・・で、何してるのよドクトリーヌは」
「無茶するから動けなくしてやってるんだよ」
「もう・・・ほら、足どけて」
「ノエルちゃ・・・うえッ!?」


ノエルはその場に座ると気絶寸前のサンジの頭を自分の膝に乗せてやるが自分も戦うからと顔を赤くして暴れるサンジにノエルは言う。


「寒いのが苦手な私がこうして雪の上に座って膝枕してあげるんだから大人しくしてなさい」
「はい・・・」


サンジが起きないように頭に手を置くと大人しくなる。その顔は耳まで真っ赤だった。つづいてノエルはチョッパーに目を向けた。
チョッパーが自分で作った「ランブルボール」という薬を手に取った。その効力の3分でチョッパーは色々な姿に変化していく。


「あったかそう・・・」


ノエルが見たのはふわふわの毛に包まれて丸くなったチョッパーの姿。ランブルボールは悪魔の実の波長を狂わせる薬で、チョッパーは全部で7段階の変形ができるようになっているのだ。


「七段変形面白トナカイ!!!!」
「どうしちまったんだいあいつは」
「七段変形と聞いて嬉しさの限界を超えちまった様だ」
「あったかそうだし可愛いし」
「ノエルちゃんまで・・・」


そんな話をしている間もチョッパーの戦いは続く。チョッパーは両手の蹄を合わせて相手の弱点を探り始めた。
そして──


「刻蹄・・・・・・!!桜!!!!」


とどめを刺したチョッパーはもとの小さな姿に戻り帽子を直した。


「本当に3分・・・」
「やった───!!トナカイ───!!!」


と喜んでいるのもつかの間、姿を消してしまったワポルをルフィは追いかけて城に走っていく。それを見たサンジもナミが心配だと地を這いながら猛スピードで城の中へと消えて行った。





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