[ 10/33 ]
しばらくしてノエルは目を覚ました。起こした体が少しだるく感じたことに自嘲の笑みを浮かべる。
ナミが倒れている間ノエルが行っていたことは「治癒能力の使用」だ。悪魔の実の能力の1つで彼女が触れれば傷口はすぐに塞がり、病なら進行を抑えることができるなんとも便利な能力。ただしそれには自分の体力を消耗するというリスクがあり、治癒能力が1番長毛率が高い。回復には少々時間がかかる為度々クロッカスに疲労回復を助けるための薬をもらっているのだ。
ノエルはまだ回復しきらずだるい体を無理矢理動かし部屋を出た。ゾロとカルーの姿がないことに気付くがたいして気には止めない。
ある人物の気配を読み取ったノエルはすぐに着替えた。向かうのはこの島で一番高い山にある綺麗な城だ。
城の中へ入るとすぐに可愛らしい声に呼ばれた。
「ノエル!!」
迎えてくれたのは小さくて可愛らしい青鼻のトナカイ。名前はトニートニー・チョッパーといい彼は鼻がよく会いに来ればいつもこうして真っ先に出迎えてくれるのだ。
「久しぶりね、チョッパー」
「ノエルー!」
嬉しそうに飛びついてきた彼をノエルもぎゅーっと抱きしめて頬をすりよせ同じように笑った。
「ねェチョッパー、オレンジ色の髪をした女の子が来てるでしょう?」
「え?うん、来てるよ?」
「そう、良かった」
ここへ来ていると言うことはもう診てもらっているということだ。ノエルはそれがわかって安心しまたチョッパーを抱きしめた。
「ドクトリーヌは?」
「部屋にいる!」
2人はドクトリーヌのいる部屋へと歩き出す。ノエルに抱かれたままのチョッパーがとても嬉しそうに終始笑顔でいるのはチョッパーにとってノエルは自分が心を開いた大事な友達だからだ。
「ドクトリーヌ!ノエルが来たよ!!」
「おや、今日は客人が多いこった」
彼女がこの島唯一の医者であるDr.くれは。とても優秀で元気な医者でチョッパーは彼女の優秀な助手である。部屋に入れてもらったところでチョッパーは患者を見てくると言って部屋を出ていった。
「・・・やだ、そんなに見つけられたらてれるッ・・・!!」
「また能力を使ったね!?」
「叩かなくてもいいじゃない!」
くれはは呆れたとため息をつき椅子にドカッと座り酒を一口飲んだ。
「赤髪はどうしたんだい」
「今は別行動」
「そう言えば凍傷の小僧が被ってた麦わら帽子、奴のものと似ていたねェ」
「ちょっと待って、凍傷ってなに」
「オレンジの髪の小娘と一緒に麦わらの小僧と金髪の小僧がいてね」
その2人も重傷だと聞いたノエルはすぐに2人が寝ているという部屋に向かった。
「いた・・・!」
ベットに寝かされている2人はどちらも包帯だらけ。ルフィは2人を抱え素手でこの山を登ってきたとくれはが言っていた。ノエルがそれぞれの頭を優しく撫でてやるとサンジの方が目を覚ました。
「・・・ん?・・・ノエルちゅわあああん!!」
ノエルを見るなり目をハートにして両手を広げるサンジに驚くも元気そうなことに安心したノエルはそっと自分の方に抱きよせた。
「えッ?えッ?」
「重症だって聞いてたから・・・でも、元気そうでよかった」
「あーえーッと・・・」
「頑張ったね、サンジ君」
自ら両手を広げたくせに本当に抱きしめられていることに柄にもなく赤面して固まってしまうサンジ。ノエルの後ろではいつの間にか目を覚ましていたルフィがムスッとした顔でそれを見ていて、ノエルをサンジから離した。
「!・・・ルフィ?」
何も言わずただ抱きしめるルフィにノエルが困ったように笑い頭を撫でてやるとルフィの腕の力が強くなった。
「頑張ったね、ルフィ」
「うん」
「ここまで素手で登ってくるなんて・・・バカね・・・」
そう言って笑ったノエルの力がふと抜ける。ルフィが慌てて体を離してみると、そのままの体勢で眠ってしまっていた。
「よほど疲れてたんだな。ナミさんにつきっきりだった」
「うん・・・」
ルフィはさっきまで自分が寝ていたベットにノエルを寝かしてやり寒くないようにと毛布をかけてやる。
そこへちょうど入ってきたチョッパーを見つけた2人は、肉だと言い彼をを追いかけまわすのだった。
prev │ next