雨のち、曇りのち、晴れ | ナノ


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リトルガーデンを無事出航してすぐ、ナミが熱を出し倒れてしまいサンジとビビによってすぐに部屋へと運ばれた。ノエルとゾロは永久指針を預かり外で待機中だ。


「行かなくていいのか?」
「君に進路を任せる方が怖い」
「お前は俺をバカにしてんのか!?いいから行って来いよ!」
「絶対に、絶対に指針から目を離さなしちゃだめよ?いい?」
「わかってるよ!!」


部屋ではサンジが大量の涙を流しハンカチをかみしめながらビビに看病されるナミを見守っていた。


「どこかの海で名を上げたどんなに屈強な海賊でもこれによって突然死亡するなんてことはザラにある話。ちょっとした症状でも油断が死を招く」


苦しそうにするナミを見て、ビビは少しでも医療をかじっている人はいないのかと聞いたとき、ちょうど部屋の扉が開きノエルが顔をのぞかせた。


「ノエルちゃん!ナミさんが!!」
「はいはい、泣かないの」
「うゥ・・・!」


涙と鼻水で顔がぐしゃぐしゃなサンジの頭を優しく撫でてやる。ナミの額に手を当て熱を測ると男性陣は後ろを向くようにとノエルは言った。ナミの服を少しめくると腹部にいくつかの痣がありこれを見たノエルは顔をしかめた。


「ノエルー、もういいかぁ?」
「ん、いいわよ」
「ノエルさん・・・」


ナミに布団をかけ直し、額に当てているタオルを取り替えながら話を始めた。


「私は医者じゃないから断定はできないけれど」
「けど・・・?」
「極めて危険な状況ね。放っておけば命を落とす可能性が」


ノエルが言い終わる前にルフィ達は慌て騒ぎ始めてしまう。サンジにいたっては何を言っているのかさっぱりな状態だ。


「騒がないの!そんな暇があったらすぐに医者を」
「・・・だめよ」
「ナミさん!?」


辛そうに体を起こしたナミは自分のデスクにある新聞を読むようにビビに言う。新聞を読んだビビは目を見開き、新聞を持つその手は強く握りしめられた。
「国王軍の兵士30万人が反乱軍に寝返った」
新聞にはこう書かれていた。このことが何を示すのかビビにはすぐに予想がついただろう。


「これじゃ・・・一気に形勢が・・・!!!」
「・・・・・・これでアラバスタの暴動はいよいよ本格化するわ・・・わかった?ルフィ」
「・・・・・・!大変そうな印象を受けた」


思った以上にルフィに伝わったことが分かると自分は平気だからとナミは部屋を出て行ってしまった。大丈夫ではないことは誰しもがわかっていたが誰も止めはしない。その後すぐにゾロの声でルフィ達も部屋を出て行った。
部屋に残ったノエルとビビ。ノエルは新聞を握りしめて俯いたままのビビに目線を合わせるようにしゃがむとそっとその頭に手をおいた。


「ノエルさん・・・私・・・」


ノエルはただ優しく微笑み頭を撫でてやるだけでそのまま部屋を後にした。
外ではふらつく体を無理矢理立たせてクルーに指示を飛ばしているナミ。そんな彼女を心配してルフィが額に手を当て医者へ行こうと言えばナミは余計なことをするなと怒鳴った。サンジやウソップの言葉も無視して船を動かそうとするナミにノエルはそっと近づき彼女の頬を叩いた。


「ッ!」
「私の話を聞いていなかったわけじゃないでしょ。私も君も医者じゃない。けど少なくともここにいる君たちより私には知識がある。何の根拠もなしにあんなことを言ったわけじゃないの」
「でも!」
「今もこれからもこの船にはナミちゃんは必要不可欠な存在よ。ビビの為を思うならまずは自分の体を治すべきなんじゃないの?」


そこへ出てきたビビが静かに話し始めた。国が大変な事態で一刻の猶予も許されないため最高速度でアラバスタへ向かってほしいと。ルフィやサンジは表情を曇らせたがビビは顔を上げて言った。


「すぐに医者のいる島を探しましょう。一刻も早くナミさんの病気を治してそしてアラバスタへ!!それがこの船の最高速度でしょう!!?」
「ナミちゃん?」
「ごめん・・・」


その言葉にクルーは表情を和らげ各々がビビに声をかける。そしてやとナミ自身がしんどいと口にした時、さっきまで船が進んでいた方向に巨大なサイクロンが現れた。この海のサイクロンはそう簡単に予測できるものではないと言うのに、今にも倒れそうなその体で感じ取っていたのだ。


「君はすごいね」
「よっしゃ!それじゃ急ごうか!!」


そうと決まれば行動の早いクルー達。ノエルはすぐにナミを部屋に戻しベットへと寝かせてナミの手を握るとそっと頭を撫でた。


(病気の進行は抑えられる。問題は私の体力がもつかどうか・・・)
「サンジ君、ちょっとナミちゃんのことお願い」
「まかせとけっ!」


船はアラバスタを指す指針を無視して医者探し。少しでもスムーズに医者のいる島にたどり着けるようにとノエルはあるものを取り出した。


「ルフィ」
「ん、どうした?」
「これが指す島に私のよく知る優秀な医者がいるからまっすぐそこへ向かってほしいの。ナミちゃんの為にも」
「・・・よし、わかった!」


ノエルがルフィに渡したのはある島への永久指針だった。ナミをすぐに楽にしてやりたいという気持ちはルフィも同じで、すぐに承諾した。
それからノエルはナミにつきっきりでその手を握り続けた。ちょうど1日が過ぎた頃、見張りをしていたゾロが妙なことを言い出した。


「おいお前ら・・・・・・海に・・・人が立てると思うか・・・?」


船の進むその先におかしな格好をした人が1人ポツンと立っていたのだ。





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