雨のち、曇りのち、晴れ | ナノ


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「うわあ!!!何か出た〜〜〜〜〜ッ!!!」
「海王類かァ!!?」
「舵きって!!急いで!!食べられちゃう!!!」
「なんだこいつは・・・巨大な・・・!!金魚か!?ん?巨大金魚・・・!?どっかで聞いたような・・・!!!」


すぐにナミの指示がでるがこの海の荒れようじゃ舵を切ることもできない。ウソップは目の前のそれに全身を震わせながらも何かを思い出しているようだ。


「ウソップ早く」
「だ・・・だめだ!!!まっすぐ進む!!!そ・・・そうだろルフィ?」


そう言うも全身は震えたまま顔には大量の汗をかいているウソップ。しかしそんな彼を動かしているのは尊敬し憧れる巨人の言葉と誇りをかけた彼らとの約束だった。それを聞いたルフィはウソップの言葉に笑って頷く。


「うん、もちろんだ」
「バカ言わないで!!!今回はラブーンの時とは違うのよ!!?」


ナミは迫りくる暗闇に焦りながら声をあげるがそんなナミにルフィは騒ぐなと言ってせんべいを渡す。そしてゾロがカルーを避難させながら諦めろと言えば渡されたせんべいを泣きながらかじった。


「う゛・・・!!」
「大丈夫よ、彼らを信じなさい」


そんなナミを優しく励ますのは極めて冷静なノエルだけだった。


「正気!!?本当にあの怪物に突っ込んでいくの!!?」
「だ、め・・・もう間に合わないっ!!!」
「きゃあああ」


ついに飲み込まれてしまった船。暗闇の中震えながらもウソップはまっすぐと叫んでいる。


「何言ってんの、もう食べられちゃったわよ!!」


進んでも進んでも光は見えてこない。しかしウソップと一緒になってルフィもまっすぐと叫び出した。その外では信じる友の海賊旗、誇りのために巨人の2人、ブロギーとドリーが100年共にした武器を構える。力強く振ったそれは空気を斬り、海を渡る。


「覇国ッ!!!!」


その声とともに巨大怪物には風穴があき、ルフィ達の乗る船は勢いよく海へと飛び出した。


「う───ッほ───ッ!!!!飛び出た───ッ!!!」


ルフィは麦わら帽子を押さえながらその力の大きさに圧倒される。目の当たりにした誇り高き戦士のその力に、ウソップは奮え涙した。リトルガーデンを出た船はただ静かに海をゆく。興奮が冷めないルフィとウソップは肩を組みエルバフへ行くんだと元気に歌を歌っていた。



「2603・・・!!2604・・・!!」
「・・・・・・ゾーロ・・・」
「・・・あのろうさえ斬れてりゃ・・・誰を手間取らせることもなかった」


ゾロは船の後方でいつものトレーニングをしている。あの時何もできなかった自分を悔やみ、そしてそれを糧にする。その足に雑に巻かれた包帯からは血がにじみ出ていた。


「ゾロ、こっちに来て座って」
「トレーニング中だ・・・!」
「いいから座りなさい」
「!・・・・・・なんだよ」


声色の変わったノエルにゾロは一度動きを止め言う通りに腰を下ろした。


「こんないい加減な処置じゃ治るものも治らないでしょ」
「仕方ねェだろ、うちには船医がいねェんだ」
「・・・それも問題よね」


素直に応じるゾロに微笑んだノエルは血がにじむ包帯を外し丁寧に処置をしていく。しばらく沈黙が続いた後でゾロが口を開いた。


「お前は・・・あのろうを斬ったな。」
「君達のことを守りたかったからね。結局、こんな怪我をさせてしまったけれど」
「!」


真新しい真っ白な包帯を器用に巻きながらノエルは優しい声でゆっくりと話した。
自分が思う「強い剣」とは守りたいものを守り斬りたいものを斬る力。触れたものすべてを傷つけてしまうそれを自分は「剣」だとは思わない、と。


「君が聞きたいことと違ったかな?」
「いや・・・」
「ならよかった」
「今の・・・同じ言葉を昔、剣道の先生から聞いたことがある」
「私も師匠から教わったのよ・・・・・・最初から私が助けてればみんなを危険にさらすことも、ゾロの足がこうなることもなかったのよね。ごめんなさい」


ノエルはそう言うとゾロを見て申し訳なさそうに笑う。ゾロの足には綺麗に包帯が巻かれていた。


「お前は悪くねェ。おれが、弱すぎたんだ」
「・・・無理なトレーニングは禁物よ?」
「あァ、わかった」
「よろしい!」
「ッ!」


優しく笑うノエルがゾロを撫でると照れたのかその手を払い子供扱いをするなと怒ったゾロ。それを見たノエルがまた笑う。

そんな時、船内にビビの慌てた声が響いた。





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