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「っは─────っ!!!ナミさ〜〜〜ん!!ビビちゃ〜〜〜ん!!!あとオマケども!!無事だったんだね〜〜〜っ」
煙草の煙で器用にハートを作り体をくねらせながら駆け寄っていくサンジ。ノエルはその後ろをゆっくりと歩いていた。
「あんにゃろ助けにも来ねェで今頃現れやがった」
「んなんじゃこりゃァ!!!お前がMr.3か!!?」
「ねぇッ!!あんた何でMr.3のことを!?」
「うほうッナミさん、君はいつもなんて刺激的なんだッ」
上半身下着姿のナミには当たり前のごとくハートにして興奮するサンジにノエルは呆れたようにため息をついてナミに近寄り自分が着ていたローブををかけてやるとサンジを見て「そういうところだがダメなんだ」と言うのだが彼はまるで聞いていない様子。気付けば全員の視線がノエルに集まっている。
「・・・何?」
「お前はいいのか?」
「なにがよ」
「つうかお前白いなー」
「え?・・・あ」
ナミとは違い普段露出のない服を着ているノエルが今はキャミソール1枚。その肌は雪のように白く黒い服がそれを際立たせている。初めて見るそのきれいな肌に皆見とれていたのだ。
「あ、寝るのにシャツ脱いだの忘れてた・・・」
「はっ!おいクソ野郎ども!!そんなにジロジロ見てたらノエルちゃんのきれいな体が汚れちまうだろ!!!」
「お前がだろ!!!」
「うるせェ!さ、ノエルちゃんはこれを着て!」
「ふはッ、ありがとう」
何だかんだエスコートしてくれたりこうして上着をかけてくれたりするサンジはやっぱり紳士的な子だなと思いながらその上着のボタンをしめた。
「・・・じゃあさっきまで・・・・・・Mr.0と話を・・・?」
サンジはMr.0と話したことや自分達は既に死んだことになっているという話を伝えた。
「そう言えばノエルは何しに行ってたのよ」
「ん?えっと・・・」
「??」
上着のポケットを探り始めるノエルを皆は首をかしげて待つ。
「はい、これどうぞ」
「えなに・・・・・・え?」
ノエルがナミに投げたものを見たクルー達は目を見開き動きを止めるが途端に声をあげて喜んだ。
「どうしたのよこれ!!」
「んー?サンジ君がね」
「ありがとうサンジさん!!一時はどうなることかと・・・!!!」
涙を浮かべて喜ぶビビは勢いよくサンジへと飛びつく。そしてこの日何度目になるか、デレっとするサンジの顔を見たノエルはまた呆れたように笑った。
「じゃあ丸いおっさんに巨人のおっさん!!おれ達行くよッ!!!」
「そうか・・・まァ・・・急ぎの様子だ」
「残念だが止めやしねェ・・・!!国が無事だといいな」
「ええ、ありがとう」
巨人の言葉に心からお礼を言う。一方でルフィは「もう死ぬなよ」なんて手を振り、その隣ではウソップがブロギーと約束をしていた。船に戻った一同が出航の準備をしている中、サンジとゾロは互いに狩り勝負の勝敗でもめ始めた。
「よく見ろよ、おれのトカゲの勝ちだ!!!」
「てめェの目はフシ穴か、おれの際の方がでけェ!!!」
その様子を見ていたルフィがどっちでもおようなことを言えば2人も息ぴったりに黙ってろと怒鳴った。
「あんたらいつまでやってんの。どうせ全部は乗らないんだから必要な分だけ斬りだして船出すわよ!!」
「はーいナミさん」
やはり2人の張り合いを止めさせたのはナミ。サンジなんかはナミの言うことは二つ返事で聞いてしまうのだから単純だ。一方で納得のいかないゾロはウソップに同意を求めていた。やっとのことで船を出した一行を待っていたのは巨人の2人。
「お!!あれおっさん達だ。見送りに来てくれたんだな」
2人の大きなマントが風に揺れる。
「この島に来たチビ人間達が・・・次の島へたどりつけぬ最大の理由がこの先にある」
「なに?」
自分達の誇りを決しで守った友、麦わら海賊団。ならば今度は自分達がその誇りを守る番だと、自分たちを信じて何が起ころうともまっすぐに進めと言いかたく約束をした。
「友の海賊旗は決しておらせぬ・・・・・・!!!」
「・・・・・・わかった!!!まっすぐ進むッ!!!」
「お別れだ、いつかまた会おう」
一体これから何が起こると言うのか。その時だった、海は大きく音を立て水面がゆっくりと盛り上がってくる。それはとてつもなく大きな島食いだった。
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