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しばらく歩いていたノエルはこのジャングルには不釣り合いの真っ白で四角い家を見つけた。恐らくMr.3が能力で作り出したものだろう。
「使い方によっては便利な能力ね」
少し感心しながら静かに扉を少し開け中を覗く。中には一人別行動をしていたサンジが電伝虫で誰かと話していた。自分に気付いたサンジに口に人差し指を当てて電伝虫を指して話を続けるように合図をしてノエルも中へ入っていく。
「何を黙りこくっている?おれは質問をしているんだ。王女ビビに麦わらの一味は抹殺できたのか?」
「・・・・・・あぁ任務は完了しましたよ。あんたの秘密を知っちまった野郎共は全て消し去りました。だからもう追っては必要ありません」
「そうか・・・ごくろう・・・今アンラッキーズがそっちへ向かっている。任務完了の確認とある届けものを持ってな」
サンジが電話を続ける中、ノエルはまた別の気配を感じ外に目を向けた。まだ見えてはいないが明らかに何かが近づいて来ている。
「アラバスタへ王国への永久指針だ・・・・・・ミス・ゴールデンウィークと共にお前らはこれからアラバスタへ向かえ。時期が来た・・・おれ達にとって最も重要な作戦に着手する。詳細はアラバスタへ着いてからの指示を待て・・・」
相手が言い終わるのとほぼ同時、丸く開けられた二つの窓にはウイスキーピークで見たラッコと鳥がサンジとノエルを黙って見つめている。そして敵だとわかると武器を取り出し戦闘態勢に入った。
「なんだこいつら・・・」
「オイ・・・どうした・・・・・・」
「いや・・・え・・・?」
焦ったサンジだったが2匹は攻撃をする間もなくノエルが片付けてしまっていた。これにはサンジも話していることを忘れノエルを見て唖然としてしまう。電伝虫から「何事だ」という声が聞こえたことでサンジがハッとしているのを見てノエルが静かに言った。
「適当に話して」
「・・・あ〜〜・・・いや・・・何でもねェ・・・外で恐竜どもが暴れてる見てェだ」
「・・・まァいい。とにかく貴様はそこから一直線にアラバスタを目指せ。なお・・・電波を使った連絡はこれっきりだ。海軍に嗅ぎつけられては厄介だからな。以後、伝達は全て今まで通りの指令状により行う・・・以上だ。幸運を・・・Mr.3」
そこで電伝虫は切れる。サンジは緊張の糸が切れたのか煙草の煙と一緒に大きく息を吐いた。
「ノエルちゃん!何でここに!?」
「ちょっと探しもの」
とアンラッキーズとやらの荷物を物色するノエルが見つけたのはアラバスタへの永久指針だ。
「この島ログ、溜まるのに1年かかるの」
「いッ・・・!?」
「でもこれで安心ね。はい、これは君が持ってて」
サンジがここにいてくれたおかげだと笑って言うノエルに鼻の下を伸ばすサンジだったが、ふと表情が変わりナミとビビの心配をする。ノエルがここに来るまでのことを順を追って話すとサンジは大声で叫び出した。
「ナミさんとビビちゃんを蝋人形だとおおお!?誰がそんなことさせるかクソやろオオオオ!!!」
「ルフィも一緒だし大丈夫よ」
「いいや!レディの命をクソゴムなんかに任しちゃおけねェ!!待っててナミさんビビちゃん!今助けに行くからねェ!!」
急いで部屋を出ようとするサンジだがそこは紳士、レディーへのエスコートは忘れない。
「足元に気をつけて」
「・・・サンジ君って紳士的で素敵ね」
「いやあァ〜」
と頭をかきながら体をくねらせるサンジを見てノエルは言った。
「普通にしてれば」
「ノエルちゅわん・・・」
「ふふっ」
ガクッと肩を落とすサンジを置いてノエルはさっさと歩きだす。2人が部屋を出たのは、ルフィ達が戦いを終えてこの島からどう出るかを話している時だった。
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