雨のち、曇りのち、晴れ | ナノ


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「ん・・・ふあぁ〜っ・・・静か・・・」


どれくらい経っただろうか、船にはまだ誰も戻ってきていないどころかあれほど嫌がっていたナミとウソップも船からいなくなっている。

「みんな森の中、か」

まだ眠そうにしているノエルはいつものようにローブを羽織ると彼女自身も船から降りてジャングルへと歩き出した。急ぐわけではなく散歩がてらにとマイペースに見たことのない植物を手に取ってみたり、途中現れた恐竜と少し遊んでみたりと少々時間はかかったがジャングルを抜けるとちょっとした広場のような場所に出た。


「ノエル!!」
「ああ、いたいた」


そこには白くて大きなカボチャのケーキの上に並んで立ってるナミ、ゾロ、ビビの姿。まるでケーキに刺されたロウソクと言ったところだろうか、その体のところどころが白くなっていた。


「まだ仲間がい・・・」
「どうして起こしてくれなかったの」
「起こしたわよ!必死に呼んだわよ何回も!!」
「君も私の美じゅ・・・」
「それは・・・ごめんね」
「いいから助け・・・」
「人の話を聞くんだがネ!!!」


耳障りな声にノエルが目をやると、髪の毛が3になっている男が青筋を浮かべてノエルを睨んでいた。男はB.W幹部のMr.3だとご丁寧に自己紹介をしながらノエルに手を向けるとその手を蝋に変えた。


「キャンドルロック!!」
「・・・!おっとっと」


ノエルの両足は蝋で固められバランスを崩しそのまま後ろに尻もちをつく形で倒れてしまった。


「ノエルさん!」
「あんた何しに来たのよバカ!」
「ナミちゃんたら口が悪い」
「うるさい!!」
「君もあいつらと同じように蝋人形になってもらうがネ」


ノエルは自分の足を固めるそれを見て今度は3人の方を見る。上から降る白い粉と体の部分部分が白くなっている仲間たちは蝋人形にされそうになっているのだ。再び自分の足に視線を戻したノエルは自分の腰にある刀「黒夜」を鞘から抜いた。


「何を・・・私の蝋は固まれば鉄の高度に匹敵す・・・」


スパパパッ!!


「えええええええ!!?」


鉄ほど固いと言われたそれをいとも簡単に斬ってしまったノエルにMr.3は口をあんぐりと開けたまま自分が固まってしまった。早く助けてくれと叫ぶナミにノエルは「ちょっと待ってて」と言って後ろを向く。その瞬間、ノエルがいたところで爆発が起きそこは爆煙で包まれる。現れたのはウイスキーピークにいたB.Wの幹部2人だ。


「どいつもこいつも大したことねぇな」
「チッ!」
「ノエル!!!」
「ノエルさん!!」


煙が立つ場所を見つめる3人とそれを笑う幹部の2人。しかし煙が晴れていくにつれ双方の表情は一転、3人は安心した表情を浮かべ幹部の方は目を見開くことになる。
無傷のまま、Mr.5を見据えるノエルがいたのだ。フードで隠れてノエルの表情こそ見えないが纏う空気は恐ろしく冷たいもので、その口角がゆっくりと上がるのをMr.5がとらえた時だった。


「ッ!?」
「ろくに挨拶もできないのね」


ノエルがそう言い終えた時、Mr.5は膝から崩れ落ち動かなくなってしまった。その隣にいたパートナーの方も。何が起きたのか理解ができない3人だったがそれより今はそうにかこの状況を脱したい。ナミもビビも早く助けてくれと焦っているがまだ邪魔をする者がまだ1人いるのだ。


「何をしたか知らないが、私はそう簡単には・・・」
「きみも」
「・・・は?」
「ああなりたくないでしょう?」
「ヒィッ・・・!!」


いつの間に距離を縮められたのか、Mr.3の喉元には刀の切っ先が向けられており少しでも動けばそれは触れてしまうだろう。Mr.3は顔を青くしその場から動けなかった。


「ノエルって強いんだ・・・」
「え、ええ・・・」
「・・・・・・」


今までのノエルから想像できないその強さに3人は驚きを隠せないでいた。
そんな時、遠くから賑やかな足音が近づいてくるのに気付いたノエルは刀はそのままに振り返る。


「おりゃああああああああ!!!」
「お前らァ!!ぶっ飛ばしてやるからなァ〜〜〜〜・・・!!!!!」


今までどこでなにをしていたのだろうか、勢いよく飛び出してきたのはやる気十分と言いたルフィ、ウソップ、カルーの3人だった。





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