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「間違いない!!サボテン島と引き合ってる私達の次の日の目的地はあの島よ!!」
「あれかァ〜〜〜〜!!偉大なる航路2つ目の島だぁ〜〜〜っ!!」
2人の声にクルーたちが視線を前に向ける。ルフィはいつものように特等席に飛び乗り前方に見えている島に目を輝かせた。
「ノエル起きろー!島だぞー!!」
「んー・・・?」
「ノエルー!!!」
「はいはいはいはい」
巨大イルカ騒ぎがありながらもこの陽気で気持ち良く寝ていたノエルだったが興奮状態のルフィに起こされる。まだ開ききっていない目でルフィが指差す方を見れば火山のある島が見えた。
「気をつけなきゃ・・・ミス・オールサンデーの言ってたことが気になるわ」
「か・・・か・・・怪物でも出るっていうのか!?」
外観は何もないただの島で、町があるわけでも建物が見えるわけでもなくただジャングルが多い茂っただけの島だ。
「そろそろ食材を補給しねぇとな・・・この前の町じゃ何も貯えてねぇし」
「爆睡してたものね、鼻の下伸ばして」
「ノエルちゅわん・・・」
「つってもおい・・・こりゃあまるで秘境の地だぜ・・・」
「リトルガーデン」あの女が教えてくれた島の名前。
しかしのこ島にはリトルだなんてそんな可愛げな面影はなく、変な鳴き声のトカゲのような鳥が飛んでいるかと思えば火山が噴火したような爆発音が聞こえ、しまいにはジャングルの王である虎が血まみれで倒れたと不安は募るばかりだ。
「こ・・・この島には上陸しないことに決定!!」
「賛成」
既にいくつかの気配を感じ取っていたノエルは何かあっては面倒だとナミの意見に賛成する。その横でウソップも首を縦に振り同意。しかしただ1人また目を輝かせてジャングルを見つめる者が約1名。
「サンジ!!弁当!!」
仮にも船長である冒険大好きルフィだ。
「弁当ォ!?」
「あ!!海賊弁当!!冒険の匂いがする!!!!」
「はぁ・・・」
そんなルフィを全力で止めに入るナミだったがあまりにイキイキしすぎているため早くも止めることを断念しノエルにバトンタッチしようと助けを求めたところで、あろうことかビビまでもがついていくと言い出したのだ。
「あんたまで何言うの!?」
「じっとしてたら色々考えちゃいそうだし。記録がたまるまで気晴らしに!!」
「ちょっと!ノエルもなんとか言ってやってよ!!」
「ケガしないように気を付けなさいね、女の子なんだから」
「そうじゃないでしょ!?」
ああなってしまえば誰であろうと止められないことを知っているノエルは止める気なし。カルーがいるから大丈夫だと言いビビだが当のカルーは言葉にならないほど驚いていた。
「ノエルも来いよー」
「私はいいから、ビビと2人で行っておいで」
「やだ!」
「わがまま言わないの。帰ってきたら話を聞かせて?」
「・・・わかった」
自分が伝えたことを本当に理解しているのだろうかと心配するノエルをよそに、ルフィはサンジから弁当を受け取ると上機嫌で船を飛び出して行く。すると今度はゾロが散歩へ行くと言い出した。
「迷子にならないでよ?」
「誰が迷子になんかなるか!!」
「だって君とんでもない方向お・・・あー・・・」
「ほーう?」
「てめぇ絶対言わねェっていったよなああ!!?」
ノエルは自分の足元で大きなたんこぶを作って倒れているウソップに「ごめんね」と言った後で船を出ていくゾロを見送った。そのゾロに食糧になりそうなものを獲ってきてくれとサンジが頼んだのだが──
「お前じゃ到底仕留められそうにねぇやつを狩ってきてやるよ」
「待てコラァ!!!」
「あぁ!?」
「聞き捨てならねぇ!!てめぇが俺よりデケェ獲物を狩って来れるだと・・・!?」
「当然だろ!!」
「狩り勝負だ!!」
睨みあった2人はそれぞれ別の方向に歩き出した。この2人を含めこの船に乗る男どもはどうしていつもこうなのだろうかとノエルはまたため息をついた。
「2人とも遅くならないようにね」
「はぁい!待っててノエルちゅわん!」
「君もだよゾロ」
「わかってる」
止めたって聞かないのだから余計なことは言わずただ送り出す。結局船に残ったのはナミ・ウソップ・ノエルの3人だ。
「それじゃあ私は寝」
「なに!?あんたまでどこ行くの!!?」
「耳が痛い・・・」
必死にノエルの腕を掴むナミに少し寝てくるだけだと伝えると少し安心した様に腕を離した。
「お前ホントよく寝るよなー」
「ゾロには負けますゥ」
「いい勝負だろ」
「あんた、その刀飾りじゃないわよね」
ふとノエルの腰にある刀を見て戦えるのかと聞いてくるナミ。
「んー・・・ウソップよりは頼りにしてくれていいわ」
「なんだと!?」
そう意地悪く笑い部屋へと降りていく。ローブとシャツを脱ぎベットに入ってすぐ、ノエルは夢の中へと落ちて行った。
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