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「今度は何!?Mr.何番のパートナーなの!?」
あれだけの騒ぎの中でずっと寝ていたサンジとウソップを連れて船に乗り込んだ一行を迎えたのはMr.0のパートナーであるミス・オールサンデーだった。
ビビはこの女を尾行することでボスの正体を知ったのだ。
「正確に言えば・・・私が尾行させてあげたの・・・」
「そんなの知ってたわよ!!!そして私達が正体を知ったことを告げたのもあんたでしょ!?目的はいったいなんなの!?」
「さぁね・・・本気でB.Wを敵に回して国を救おうとしている王女様が・・・あまりにもバカバカしくてね・・・・・・!!!」
ビビの頭に浮かぶのは囮になり1人海へ出たイガラムの姿。
「ナメんじゃないわよ!!!!」
そう叫んだビビの声を合図としたように皆が武器を持ち戦闘態勢を取った。未だ状況を読み込めていない寝ていた2人もだ。しかしそれは女の能力によって阻止されてしまう。
「そう焦らないでよ。私は別に何の指令も受けてないわ。あなた達と戦う理由はない」
「じゃあ何をしにここへ?」
「!?」
「ノエル!!」
キッチンの扉が開き出てきたのはいつものように煙草を咥えたノエルだ。そして女とノエルは静かに互いの目を見合う。
「珍しい人が乗っているのね」
「そんなに珍しいかしら」
「そう睨まないでよ・・・あなたが麦わらの船長ね、モンキー・D・ルフィ」
そう言った女はルフィの帽子を取り上げ自分がかぶる帽子の上に重ねた。
「不運ね・・・B.Wに命を狙われる王女を拾ったあなた達も、こんな少数海賊に護衛される王女も・・・・・・!!・・・この船にあなたがいるということもね?」
「大事なものなの。返して」
「まぁいいわ・・・何より不運なのはあなた達の記録指針が示す進路・・・!!その先の土地にある名は"リトルガーデン"。あなた達は恐らく私達が手を下さなくても、アラバスタへもたどり着けず・・・!!そしてクロコダイルの姿を見ることもなく全滅するわ」
そして女はノエルにだけ聞こえるように言った。
「あなたは・・・どうするのかしら」
「君には関係のないことよ」
「冷たいのね」
女は不敵な笑みを浮かべアラバスタのひとつ前の何もない島を示した永久指針をビビに投げ渡した。組織の社員も知らない航路の為追手は来ないと言う。
それを手にしたビビは考えるように見つめていたのだが、ルフィが奪い取りその手で砕いてしまった。
「アホかお前ーー!!せっかく楽にいける航路教えてくれたんじゃない!!あの女がいい奴だったらどうすんのよー!!」
ナミはルフィに怒るが本人は黙って女を見て言い放った。
「この船の進路をお前が決めるなよ!!!!」
「まったく・・・」
「そう・・・残念ね。私は威勢のいい奴は嫌いじゃないわ・・・」
生きていたらまた会おう、そう言って女は大きなカメに乗って去って行った。
「ノエル!お前どこに行ってたんだ!!」
「ちょとね。ほら」
「お、ありがとうな」
帽子を受け取ったルフィは嬉しそうに笑いそれをかぶる。ノエルがどこへ行っていたかはもういいようだ。
「あの女・・・いったい何考えてるのかさっぱりわからない」
「だったら考えるだけ無駄ね」
「そういう奴ならこの船にもいるからな」
「船長がそう・・・何で私を見るのかな?」
そんな皆にビビは自分が船にいたのでは迷惑をかけてしまうのではと言う。ノエルはあの女が言った言葉を思い出し一人その場を離れた。
──この船にあなたがいるということもね──
「余計なお世話・・・」
霧が晴れ、日が上った海を進むメリー号に船長の元気な声が響く。
向かうはリトルガーデン
一体どんな困難が待ち受けているのだというのだろうか───
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