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ルフィ達はビビからアラバスタという国とバロックワークス(B.W)について話を聞いた。
「アラバスタという国を?」
「ううん、聞いたこともない・・・」
「新聞で何度か」
ナミからの視線を感じたノエルはそれだけ答えた。
「アラバスタ王国は偉大なる校を有数の文明大国と称される平和な国だった・・・昔はね」
「昔は?」
「ここ数年民衆の間に革命の動きが現れ始めたの。民衆は暴動をお越し国は今乱れてる」
そんなとき耳に入ってきたのがバロックワークスという組織の名前だった。その工作によって民衆がそそのかされていることが分かったのだが、それ以外の情報は一切閉ざされてしまっていた。そこでビビはイガラムに頼みどうにかバロックワークスに潜入し王国を脅かす黒幕とその目的を調べたのだ。
「威勢のいい王女だな」
「まったく」
「そしてB.Wの真の狙いは『アラバスタ王国の乗っ取り』だとわかった。早く国へ帰って真意を伝え国民の暴動を抑えなきゃ、B.Wの思うツボになる」
「おい、その黒幕って誰なんだ?」
何気なく聞いたルフィにビビは慌てふためき、命を狙われることになるから絶対に言えないと顔の前で手を振る。それはごめんだと賛同するナミだったのだが──
「いくらあなた達が強くても、王下七武海の一人クロコダイルには決して敵わない!!!」
言ってしまったのだ。ご丁寧に七武海の一人だということまで。ビビは口を手で覆うが時すでに遅し。ナミは自分を抱きしめ固まりルフィはどこか嬉しそうに、ゾロとノエルは呆れていた。ふと視線を感じそちらを見ればサングラスをかけた妙な鳥とラッコ。2匹は互いに目を合わせるとさーっと飛んで行ってしまった。
「ちょっと何なの!!?今の鳥とラッコ!!!!」
「ごめんなさいごめんなさい」
泣いてわめいて荒れ狂うナミとは逆に黒幕が七武海と知って嬉しそうなルフィとゾロ。ノエルは相変わらずマイペースで1人煙草を吸い月を眺めている。
「短い間でしたけどお世話になりました」
どこに逃げようというのか、スタスタとその場を去ろうとするナミだったのだが再び現れた2匹に似顔絵を見せられ結局戻ってきた。
「・・・・・・!!!」
「わ・・・私の貯金50万ベリーくらいなら・・・」
「大丈夫よナミちゃん」
「何の根拠があって言ってんのよ!!!しかもあんたの似顔絵だけなかったじゃない!!」
ローブを着ていつのまにかそのフードをかぶっていたノエルは顔を見られなかったためセーフ。そんな時に現れたのはなぜかビビと同じ格好をしたイガラムで、自分がおとりになりアラバスタを一直線に目指している間に別の航路でアラバスタを目指せと伝えた。
「参考までに言っておきますが、今でこそ七武海である彼には賞金は懸っていませんが、B.Wの社長クロコダイルに懸けられていた賞金額は8千万ベリー」
懸賞金額を聞いたナミはまた声を荒げて断れと言うのだがルフィはそれを軽く承諾してしまう。さっきノエルに言われたことを忘れたのかと言うナミにルフィは当たり前のように自分が守ってやるからと笑顔で言った。
イガラムがビビの持っている永久指針を自分に渡すように言うとビビはそれを心配そうに渡したそれを見てナミが聞く。
「ねぇ、永久指針ってなに?」
「あれは記録指針と違って一度記憶させた島の磁力をずっと持ち続けるの。だからどこへ行ってもずっとその島だけを指し続けるのよ」
「へー」
ナミのその返答に彼らは本当に何も知らないままこの海へ飛び込んできてしまったのかとため息をつくと「なによ!」と言ってノエルが叩かれた。
「私も通ったことはありませんが、確かこの島から記録を2・3たどれば行き着くはずです。無事に・・・祖国で会いましょう」
(また・・・)
ノエルが妙な気配を感じ取ったそのすぐ後だった。
ドオン!!!!!
「ッ!!?」
大きな爆発音とともにイガラムが乗った船は爆破。静かだった海はあっという間に火の海へと変わってしまったのだ。その海を見つめて口を血が流れ出すほど唇を噛みしめているビビをナミが抱きしめて強く言った。
「大丈夫!!!あいつらたった4人でね・・・!!東の海を救ったの!!七武海なんて目じゃないわ!!!」
「船に急いで」
「あんたは!?」
「すぐに行くから・・・急いで!」
そう言ったノエルはナミ達が離れたのを確認するとまだ火の上がっている海へ向かう。そこには外傷こそ少ないものの気を失っているイガラムの姿。
ノエルは彼を海からあげると一通り手当をして安全だと思われるところに寝かせて仲間のところへ向かった。
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