雨のち、曇りのち、晴れ | ナノ


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「よーこそ!!歓迎の町ウイスキーピークへ!!!」


海賊船が入ってきたことを盛大に歓迎しているその町の様子に一同は唖然とした。
略奪行為を行う盗賊集団、本来ならそれが海賊というものなのだがそれをこんなにも快く歓迎するところがあるだろうか。普通であればこの状況に疑問を抱かなければいけないところだが──


「感激だぁ!!・・・やっぱり海賊ってのはみんなのヒーローなんじゃねぇのか!?」
「うおおーーーーい!!!」


警戒するどころかどいつもこいつもこの状況に大喜び。警戒しているのはゾロとナミ、そしてノエルだけだ。
船は川べりに近づきそこに停めた。町の住民と町長だというまかれた髪が特徴的なイガラッポイという男が挨拶をしてくれる。


「驚かれたことでしょうがここは酒造と音楽の盛んな町、もてなしはわが町の誇りなのです。自慢の酒なら海の様にたくさんございます。あなた方のここまでの冒険の話を肴に宴の席を設けさせてはいただけまぜ・・・ゴホン、マーマーマー。いただけませんか・・・・・・!!」
「喜んで〜〜〜っ!!!」


真っ先に町は入って行ったのは肩を組んだ船長コック長鼻の3人。ログはどれくらいで溜まるのかと聞くナミもうまくはぐらかされイガラッポイに連れて行かれてしまった。


「・・・おい、お前何して」
「しーッ!」
「・・・?」


ノエルは周りに人がいないのを確認しゾロを呼びつけ自分は船番として船に残ると伝えた。


「それからひとつだけお願い」
「あ?」
「甘いものがあったら持ってきて。てゆうかチョコ」
「ああ!?んなのテメェで行けよ!」
「声がでかいーお願いよゾロちゃん」
「変な呼び方するな!知るか!!」


怒りながら町へ消えていくゾロに手を振りながら見送ってノエルは見張り台へ上がる。そしていつものように煙草に火をつけた。


「賞金稼ぎの巣ってとこか・・・」


偉大なる航路に意気揚々と入ってきたばかりの海賊をカモにでもしているのだろう。
そんなことよりノエルが気になったのはここまで乗せてきた2人のうちの女の方とこの町の町長だ。


「こんなところで何やってんだか・・・・・・!」


ふと感じた100人近い殺気。ノエルはローブを身に纏いフードを被り自分も町へ向かった。
町に足を踏み入れて1番に見えたのは月を背に建物の上で刀をかざすゾロの姿。この島で彼らが何をしているのかをゾロが不敵に笑いながら口にしていくと住民たちが一斉に戦闘態勢に入る。


「賞金稼ぎざっと100人ってとこか。相手になるぜ、バロックワークス(B.W)!!」
「また一つ・・・サボテン岩に墓標が増える・・・!!」
「頑張れゾロちゃん」


こうして始まったゾロVS賞金稼ぎ100人。ノエルは気付かれないよう風になりそこを抜けて建物の中へと移動した。


「まーのんきだこと・・・」


中では騒ぎを知らないバカ3人が気持ちよさげに眠っている。ナミは別で行動を起こしているようだ。外からは爆発音やらガラスの割れる音やら悲鳴が聞こえてくる。適当にいくつかの酒を手に取りとりあえず人気のない場所へ移動する。ノエルは加勢するわけでもなく、ゾロの100人斬りを見るわけでもなく、ただ夜空に浮かぶ大きな月を眺めてた。





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