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 ロスマリナス 04

それからも都や地下街の近くに行く際
その家が見えるその道を通ることが度々あった


別に何をしようという気もない
ただ毎回その女の家が視界に入るのは確かだった


色んな奴の気を引くというあの女の魅力がなんなのか


あの冷たい態度以外に
整った顔以外になにがあるのか一瞬気になったのは嘘じゃなかった


毎回その姿を見るわけではないが何度かは
最初に見た時と同じように庭先で植物の手入れや洗濯物をしているところを見かけた





しばらくはそれだけだった






久々に足を運んだ王都の雑踏の中


何気なく入った食料品店でばったりと顔を合わせるのは、一体何の因果なのか


ダークブロンドにヘイゼルのような緑のような瞳の色
明るいところで、こんなに近くで顔を見たのは初めてだった


目線を離さないまま言葉を無くすその顔に掛ける言葉も特に思いつかず、
真正面から向き合っておきながら見なかったことにして店を後にした


人通りが多い道を足速く歩く中、後ろから自分を呼び止める声がする


名乗っていないからか、あの、とだけ声がした



一度だけ聞いた、あの伸びやかな声だ



次いで服が後ろから軽く引かれる

少し迷ってからゆっくり振り返ると息を弾ませて自分の服の裾を掴む姿が見えた




その手には紅茶の茶葉が入った赤い紙の箱が握られている


自分が好んで時々購入するものだ


これを、と静かに言いながらその小さな箱を差し出して来た

が何の反応もしない自分の手にその女は無理矢理紙箱を握らせる


お礼です、さっき見ていたみたいだったので、と少し目線を外しながら言うとニコリともせず踵を返して人混みの中を戻っていった


呆気にとられ、手に残された紙箱とその後ろ姿が既に消えていった人混みとを見比べる


今更どうしようもないと分かって、茶葉が入ったその小さい箱を握ってその場を後にした




…全く読めない女だ
愛想も無ければ可愛げもねぇな

ますます苦手なタイプだと、再確認した



  


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