△ ロスマリナス 15
…自分はこの女に他の奴と同じように言い寄ったわけでは、ない
だが何の用もなしに気付けばここを訪れていたり
近くを通りかかるときにはその姿を探す自分がいたのも確かだ
薄い色の瞳は今日は水分を含んで濡れて光る
やはりタチが悪い女だ、と思った
相手が少なからず興味を持つとこうして牽制するのか
他の男どもと同じように、こなすことも出来ない条件とやらを吹っかけて
自分の中で少しでも気持ちに変化があったのを感じ取ったのか
そう考えると勘がいい奴だなと思った
この瞳に、この容姿に
何かを見せないように突き放すようなこの態度に
少なからず興味がある自分がいたが
小さく震える華奢な肩は突然ぱっと向きを変えて家の中へと駆けて行った
ぎい、と木製の扉が閉まりその姿が見えなくなる
しばらくその扉を見つめていたが、ふと我に返って馬を蹴った