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 ロスマリナス 12

言いたいことがあるのは明らかだった
その言葉を待つようにして少し佇む


先日の、とやっと声が聞こえた


先日の場所で何か大きな事件があって建物自体が全焼したと聞きました

あの日私が行っていたら巻き込まれていたかもしれない

…助かりました
ありがとうございました


その報告に、そうか、と返す
あの周辺なら何があっても不思議ではない


その唇は礼を述べているはずなのになぜか悔しそうに歪む


…だからこういう女は苦手だ、と思った

感情ばかり無様に曝け出してそれが余計に庇護欲を掻き立てる
女も子供もそれが楽に出来ていい

こうした仕草は言い寄る男を誘うだけだ
…果たしてこの女はそれを分かっているのだろうか、と思う


白い肌と赤い唇の色彩が対照的に際立つ
その唇がもう一度動くのを無意識に見ていた



…なぜこんなに助けてくれるのですか



そう呟く声は焦燥を含んでいるようにも聞こえる


何度も助けられて
私はどうすればいいかも分からない


表情は固く、少し悲しそうにも見えた


この顔には覚えがあった

馬車から助けたときもそうだった
助けられることの何がそんなに気に入らないのか

男と女の出来ることは明らかに違う
紅茶やハーブをもらった回数と助けた回数は同じくらいじゃねぇか、と思った



  


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