△ アリビンゲーブ 10
気にしない気にしない、と自分に言い続けた一週間が過ぎた。
見事に何も起きなかった。
もう用が無いのなら、はっきりそう言って欲しい!!
一々気にするのも馬鹿馬鹿しい。
背後から誰かが近づく度にびくびくする事もしなくなり、訓練に打ち込もう、とやっとあの不思議な出来事を吹っ切れる気がしてきた。
その日の夕方、夕食を終えて食後のジョギングに出ようとすると…
背後から不意に、声を掛けられた。
「あー!ブルネットの三つ編み!
エマさんだよね?
リヴァイ兵長から伝言を預かってるんだけど…」
振り向いて、デジャヴかと思った。
前回とは違う人だが同じ状況。
私を呼んでいるというリヴァイ兵長。
言付けを終え、その人物が場を去っても私はしばらく振り向いた体勢から身動きが取れなかった。
やっと、普段の生活に戻れるかと思った最悪のタイミングを兵長は分かっている。
やはり人類最強は侮れない。