△ アリビンゲーブ 06
そう心に決め、きっ、と彼を見据える。
実力だけであなたに近づけないのがこんなにも悔しい。
いつか、体だけなどでなく、兵士として役に立って見せますから。
私の眼を見て兵長の目が一瞬細められるが、すぐにいつもの冷めた表情に戻り、その手が私のジャケットに伸ばされる。
肩がびくりと震えてしまう。
「少々反抗的だが…。断るなら、今だぞ。」
断りはしない。
だけど、喜んで受け入れることもしたくない。
兵士として、脳もプライドも無いなんて思われたく無い。
兵長は私のジャケットを脱がしながら、顔を近づける。
「…!」
唇が震えることに、気が付かないで。
初めて触れた兵長の唇は、冷たかった。
彼のムスクの香りが鼻を掠める。
軽く触れるだけのキスはこの関係が甘くはならないという証の様だった。