△ アリビンゲーブ 05
「…は?」
頭が、ついていかない。
寝るというのは、つまり、ただ添い寝するとかではなく、そういうこと?
いや、ここは彼の自室で、彼もシャツを脱ぎ掛けているし、
私が考えている意味できっと合っているのだろう。
でも、私は一兵士で彼は私の上司にあたる人間だ。
恋人になるわけでもなく、体の関係を上司と部下で持つ?
そんな組織内の規律を乱すようなことを、この人が言うだろうか?
大体、私とこの人はろくに話した事も無い。
私と兵長が体の関係を持つ?
私の耳がおかしい?
頭をフル回転させても答えは出ない。
目の前の男は表情一つ変えずに私を見下ろしている。
「あの、それはどういう…」
「返事は二つに一つだ。さっさと決めろ。」
ずい、と更に近づいてくる彼に今まで感じた事のない『男』を感じ、身震いする。
だが、彼の口調からはどうしても私でなければいけないという訳ではないようだ。
まさか定期的に相手を変えているのだろうか?
私が断ったとしても、兵長はまた別の相手を見つければいいだけ…ということなのだろう。
兵士の代わりがいくらでもいるように私は彼にとって大勢いる中の一人でしかない。
断ればこの話はこれで終わるだろう。
そうすれば私はいつもの生活に戻れる。
巨人を倒すために訓練を積み、
人類の為に死ぬまで戦い続ける。
人類の為に…。
そっと、彼の顔を盗み見る。
目の前のこの男は、人類の希望だと言われている。
そんな、普通なら手も届かない存在が私の前に立ち、私を必要とする場面がこの場を逃せばあと何度あるだろうか?
悔しいが、剣の腕で役に立つにはまだ時間が必要だ。
どんな形でもいいから他の誰でも無い『私』を知ってもらいたい。
一度は死にかけ、他の誰でも無いこの人に助けられたこの命。
不本意だけど今の私の利用価値はそれだけだということなのだろう。
体だけだとしても…彼の役に立てるのなら。
捧げてやる。
憧れの、生身のリヴァイ兵長に。