△ アリビンゲーブ 04
私を振り返ることもなく彼は部屋へ入ると、書類を机にまとめ、ジャケットを脱いでハンガーへかける。
その隙に部屋を目だけで見渡すと、
なるほど、彼の潔癖といわれる由縁が分かった気がした。
無駄な物は何一つ見当たらない。
ベッドのシーツに至っては皺一つなく整えられている。
自分の部屋と比べ、女子として少し悔しく思う。
いわゆる男臭さとは無縁の、ムスクのような清々しい香りがする。
部屋の入り口から入る事も出来ずに突っ立っていると、
襟元を緩めながら気怠そうに彼が振り向いた。
「何してる…入るなら入れ。」
「は、はい。失礼します。」
おずおずと中に入ると、扉を閉めるように言われ更に面食らってしまう。
わけが分からないながらにも扉を閉めると、完全に逃げられない気がした。
扉の閉まる音を私とは対極的な表情で聞いた彼は、
おもむろに自分のシャツのボタンを一つ、二つと外していく。
な、なんだか雰囲気がとてもおかしい。
この人、本当にあの兵長?
その様子を凝視しながら固まる私を、更に面白そうに眺める兵長。
カツ、と彼は私との距離を詰め、向き合った状態になる。
何が起こっているのか皆目見当もつかない私に、彼はとんでもない事を言い放った。
「単刀直入に言う。俺と寝てくれないか?」