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 サルタナ 03

その派手な、もとい珍しい色のソファの持ち主と鉢合わせたのはそれからすぐのことだった。



流石に毎日は来れないものの、空いた時間を見つけては時折どこかにいなくなる私を友人達は不思議そうにしながらも見送ってくれていた。

そうしてまたこの別棟に来たはいいけれど、奥の部屋に向かう足取りがいつもより慎重になっていたのはなんというか、いつもと雰囲気が違って感じたからだ。

いつもは大きく開いている扉もその日だけはしっかりと閉じられていた。


誰かいる、とすぐにピンと来た。


あのソファの持ち主ならば、一声掛けておこうと思ってしまった。
ソファは使っていないけれど時々この部屋を借りていますって。

何なら、この空間が同じように心地よく感じる人ならば話も合うんじゃないか。


そう思ってしまったのがそもそもの間違いだったのかもしれない。

恐る恐るその扉に近づき、申し訳程度にノックをした。
返事が聞こえないので、もしかして、やはり誰もいないのかと思いながらも静かにドアノブを回して。


扉を引いた先。

こつりとブーツを鳴らして、少し奥まった場所にある空間におずおずと足を延ばす。
遠慮がちにちらりと顔を覗かせた。


目が合ったその人物が余りにも予想外すぎて、私は文字通り固まってしまった。

その人はソファにどっかりと深く腰掛けたまま、突然の訪問者にも動じずに視線を返して来た。

というか、幾分鋭すぎるその眼光。
その目付きと顔には見覚えがあった。


あの人だ。
あの訓練場で臆することもなく意見を言ってのけた人。
みんなの言う、ゴロツキ。


「……」


その口から何かを言われそうな気配を感じ取った私は済んでのところで、その前に声を絞り出した。


だって唯一知る彼の人柄は容赦なく言い捨てるということだけ。
そこからは嫌な予感しかしなかったから。


「───あ、お邪魔してごめんなさい。
失礼しました!」


それから扉をまた静かにぱたんと閉めて、逃げるようにその場を後にした。


やっぱり野良猫だ。
あそこはきっと彼の縄張り内で、誰にも邪魔されたくない場所なんだろうと勝手に考えた。

でもどうしよう。
縄張りというなら、私だってあの部屋はお気に入りなのに。


変なところで諦めきれなくて、私はソファも使っていないし、と開き直った。
私より早く入団しているとは言え、新兵も同然なはずの彼がソファの持ち主というのも少し疑問だった。


結果、彼と時間が被らないなら良いんじゃないかという、あとで考えると恐ろしいほどの自分勝手な結論に行き着いてしまっていた。







これが私達の初対面だった。

私は辛うじて彼の素性だけ知っている程度で、彼に至っては私の顔さえまだはっきりと覚えていなかったはずだ。
だけど他の誰でもなく、初めて二人の時間が交差したのは紛れもなくこの瞬間だった。


後になってから思い返すとこの場所での出逢いは偶然だったのか必然だったのか、それさえも分からない。


流石にその日は、扉を開けなければよかったと思ったかもしれないけど。


私があの場所でリヴァイに会うことが出来たこと。
それを後悔することは、きっと、これからも無い。



  


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