△ ナカロマII 08
夜も更けて少しでも眠るべきだという私にリヴァイが根負けして、寝ることになったのはいいけど。
ジャケットを脱ぐとリヴァイがクローゼットから替えのシャツを出してきた。
渡されるままに着替えてブーツを脱ぎ、簡単な寝具を被せたベッドへ上がった。
寝ることには同意した癖にリヴァイ一緒のベッドでは寝ないと言い張るので、半ば引きずり込むようにしてベッドの上へ彼を引っ張った。
「だからお前はまだガキだって言ってんだ」
そう言ってベッドには上がってくれたのにそっぽを向こうとする。
目を離せば私が寝ているうちにベッドから降りてしまうような気がして、離さないように抱きしめた。
「人の気も知らねぇで…」
なんて呟いていたから、本当に迷惑がられていたとは思う…。
嫌だったかな、本当に眠くないのかもと思い始めたとき、
最終的に小さくため息が聞こえた後
諦めたようなリヴァイの腕が背中に回り、二人で横になることが出来た。
予想に反して強めに抱きしめられる。
…本当に嫌だったら寝てくれないはずだと密かに安心した。
昔一度だけ寝かしつけてくれたときに、
リヴァイから聞いた『寝るまで一緒にいてやる』という言葉。
あの時はそれが添い寝する意味じゃないと分かり半分ほっとして、もう半分は、どこか少しがっかりしたんだっけ。
夜中まだ日が昇らないうちに目が覚めたとき、あまり深くは寝ないというリヴァイの寝息を聞けたときには、小さいころのあの思いがやっと叶った気がした。
初めてのことばかりで無意識に緊張していたからか
その夜はやけに何度も目が覚めたけど、不思議と疲れた気はしなかった。
熟睡は出来ないのか、ほんの少し私が身じろぎするだけでもリヴァイはすぐに目を覚ましてしまうので、起きる時間になるまで抱きしめられたままだった。
深く寝ないんじゃなくて
寝られないのかな、となんとなく感じた。
…神経が張っているんだろうか。
私の知らない彼の過去には、一体なにがあったんだろう。
きっと何度も諦めて、数えきれないくらい傷ついてきたその過去。
そんなこと聞けるわけがなかった。
私もリヴァイの腰に手を回したまま抱きしめ返すようにしていた。
小さく温かい鼓動に包まれて。
香水でも洗剤でもなく、落ち着く彼の体温の匂いがする。
…抱き締められているのに抱き締めているような。
そんなくすぐったい感覚。
ほとんど毎日椅子に座ったまま寝るというリヴァイを監視するためにも、
毎日じゃなくてもたまにこうして一緒に夜を過ごせればいいな、と思う。
今日みたいに強引にでもベッドに引っ張って。
嫌がられるかもしれないけど、少しでも眠ってほしい。
一回り以上も年上で、人類最強と呼ばれる人が今は自分の腕の中にいる。
だけど、その寝顔はなんだか少しだけ幼くも見えた。
少しでも彼が気を楽に出来る瞬間が増えるといい。
忙しいのは分かるけれど、少しでも体を休めて欲しいと思った。
自分の体は自分が一番分かっていると言いそうな彼を見て、ふと笑みがこぼれる。
私なんかにそんなことを思われるなんてリヴァイも心外だろうけど…
そのひとつしかない心も、体も。
もう少しだけでもいいから自分でも労わってほしいと思う。
どうかこの人がこれ以上傷つくことがありませんようにと、リヴァイを起こさないように慎重に…
浅い寝息が聞こえるその頬に軽く唇を寄せた。