△ ナカロマII 06
そう言ってから、なんだか体まで火照りながらリヴァイを見る。
拒否してしまったから怒るとかすごく不機嫌になってしまうんじゃないかと思ったけど、それに反して薄暗い中で見つめたその瞳はいつも通りの涼しいものだった。
「やっぱりな…。まだ全然駄目じゃねぇか」
「…やっぱり?」
なにがやっぱりなの?
「嫌なんだろ、別に今すぐしようと思ってねぇから安心しろ」
しようと、っていうのはいくら私でも分かる。
そういう事だよね?
そこまで考えて、さっきのリヴァイの言葉を思い出した。
いいのか、って聞かれた。
よくよく考えてみると一緒に寝るだけでそんな言い方しないよね…?
も、もももしかして。
一緒に寝るってそういう意味で言ってた!?
私はてっきり普通に寝るだけの意味で話してたのに…!
リヴァイはもう大人だし、そういう事をしても全然おかしくないんだけど。
私にとっては未知の世界なわけで。
そういう対象で見てくれるってことに少しくすぐったさを感じる。
でも。
い、今すぐになんて確かに無理…!
でも無理というのは今の気持ちの問題であって、
リヴァイとそうなるのが嫌なわけじゃない。
むしろ好きな人と初めてそうなるというのは恥ずかしいけれど…少し憧れでもある。
嫌なんじゃ…ないよ。
「…違うの。嫌なんかじゃないんだけど」
薄暗い部屋の中で、お互いの存在以外は何も無い。
他の皆もお城にいるはずなのにその気配も今は感じられない。
椅子の上で抱き留められるみたいにリヴァイの腕の中で、彼を感じて。
「み、見られるのも恥ずかしいし」
そう言った私は、間近でリヴァイの眉が寄せられるのを見た。
怒ってるわけじゃないし不機嫌なわけでもないみたい。
…どういう顔だろう、これは。
時々、リヴァイは無表情なんかじゃなくて誰よりも表情豊かなんじゃないだろうかと思ってしまう。
「…何を今更。お前の成長は上から下までもう見てる」
その声には少し呆れたような色が含まれていて、ずっと抱えていた疑問が確信に変わった。
「……っ!」
やっぱり!
考えないようにしていたけれど頭に次々と浮かぶのはリヴァイに身体を見られたような場面だった。
森で助けられた時も、見えていたはず。
湖では間違いなく目に入っていたはずだ。
特に興味がないから何も言われないのか、見たこと自体忘れているのかもと思っていたけど、今の言い方だとしっかりと覚えているようにも聞こえる。
「リヴァイ、やっぱりあの時見たの…!?」
「あ?どの時だ。湖でも丸ごと見ただろうが」
「まる……っ」
言葉に詰まるってまさにこのこと。
見られたかもしれない、とは思っていた。
でもそんなにはっきりと見られていたなんて。
こんな形でそれを証明されるとは思っていなくて、今までない以上に顔が火照っていくのを感じた。
どう返せばいいかも分からなくて固まる私に、今度こそリヴァイがふっと軽く笑った。
…この表情は滅多に見られないやつだ、と頭の隅で思う。
「……なんだその顔は。
悪くねぇって言ってんだから、素直に喜べ」
…そんなこと一言も言われてない、と今度は私が不機嫌になる。
リヴァイには言葉が足りないって伝えたはずなのに、この様子じゃあ一向にそれが治る気配もない。
会話の内容は昔に比べて色気を含んでいるのは間違いないはずなのに、どうしてこう言い合いみたいになってしまうんだろう。
一瞬むっとしたけれど、リヴァイには敵う気がしなくて私も困って眉を顰めた。