△ ナカロマII 05
椅子に座るリヴァイに近づくと、ふと手を差し伸べられて自然にその手を握り返す。
引き寄せられるように両ひざを開いて座るリヴァイの前に立たされる。
そのまま下に手を引かれ、片膝の上に誘導されていることが分かって一瞬だけ戸惑った。
「……!」
す、座れってこと…?
ほんの少しだけ膝の上に座るなんて恥ずかしい、なんて思うけど、リヴァイの体温を感じるとそんな思いもどうでも良くなってしまう。
これって本能なのかなと思った。
触りたくて、触られたくて、その唇に触れられたい。
その感情に身を任せれば、こうすることが正解だと思えた。
膝の上に座らせれるとリヴァイの顔が近づいて、すぐにキスの雨が降って来た。
腰と背中に手を当てられて唇を重ねる。
少しだけ目線が低いリヴァイに、至近距離で触れ合う。
彼の体の温度に包まれているような感覚がした。
ゆっくりとしたキスなのにそれだけで私の息は上がってしまう。
びく、と体が反応するのはなぜなんだろう。
痛いわけじゃないのに胸がきゅうっと鳴る。
目を閉じて、お互いの体温だけ感じて。
時間の感覚もなくなってきたとき不意に腰に当てられた手が動いた気がして、恍惚の中で思い瞼を開いた。
…?
その私より大きな手の平が腰を辿って、緩く抱きしめるように前に回る。
心地良いその感触をただ感じていただけだったけど、その手がそのままシャツのボタンに掛かったのではっと身を起こした。
えっ…!
「リ、リヴァ…!」
そう口を開いた瞬間に、する、と唇を割って柔らかい何かが入り込んできた。
「ん…ッ!」
びくりと体が震えて、初めて感じる暖かい柔らかさに固まってしまった。
こ、これ、
舌を入れられてるの…!?
微かに唾液が混ざる音が耳をくすぐった。
驚いた拍子に身を引こうとして、まだもう片方の彼の手が背中を押さえつけていることに気付く。シャツのボタンに掛かるリヴァイの右手が器用にボタンを外す音を聞いた。
柔らかくて、生き物みたいな舌の感触が思考力をどんどんと奪っていく。
狭い口の中で逃げようとした舌もリヴァイに難なく捕まり、舌同士が触れ合うとぴりっとそこから小さな電流が走るようだった。
小さく触れられるとくすぐったいと思ったのに、深く絡めとられると呼吸も、抵抗の力も奪われていく。
キスって、唇を合わせるだけかと思ってた。
口の中身までこんなに触れ合ってしまっていいんだろうか。
物凄く淫靡でいけないことをしているようなのに、その感覚に魅了されるように溺れていく。
表面だけの唇の触れ合いだけで気持ちいいと思っていた自分がいたはずなのに。
…舌が触れ合うと体がもっと敏感になる。
キスという行為を生まれて初めて理解出来た気がした。
遠くなっていく感覚の中で、もう一度ボタンの外れる音が耳に届く。
は、と気が付くと胸元のシャツのボタンが外されて肌蹴ていた。
慌てて少しだけリヴァイから距離を取るけど、その間にも唇から離れた彼の温度がごく自然に首から胸元へと触れていく。
「リヴァイ、…!」
流れるように私を抱きしめる腕が身体を引き寄せて、ぴったりと密着する肌を軽く舌が這う。
身が震えるのはその感触が熱いからか、恥ずかしいからか分からなかった。
露になった胸元にも唇が触れてからリヴァイの手が首元からシャツの中に滑り込むのが分かって今度こそ彼の体を押した。
「…だ、だめ…!」
緊張と、わけが分からなくなった頭で息が弾む。
こ、こんなにまじまじと肌を見られるなんて死んじゃいそう。
というか、展開が早すぎる!
今日やっと思いが通じて、さっき初めて唇を合わせたばかりだ。
こんなに全てを一気に経験するほど覚悟も準備も出来ていない。
求めてくれるのは物凄く嬉しいけど、リヴァイと想像していたのはキスまでで…、
それ以上のことなんて、何をどうするのか想像でさえも恥ずかしくて考えてもいなかった。