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 ナカロマII 03

リヴァイを怒らせるのは得策ではないのは分かりきっている。
彼は普段のままで充分怖いのだ。

そんなリヴァイの邪魔をしないようにしつつ、様子を見るなんてことが出来るのか。

そして何より、実際にそんなことになっていたとしたらどう見守るべきなのか…。


「本当にそういうことになってたら俺らどうするんだよ…」

「そうなっていたら色々と悪い気もする…。簡単に掃除を終わらせてる隣の塔にでも移るべきだな」

「いや、まさか。こんな俺らも近くにいるところで兵長がそんなこと最後までするわけないだろう」

「そ、そうだよねぇ…」


「「……」」



そしてまたお互いの顔を見合わせる。

追い詰められて、打開策を思いついたのはオルオだった。


「…仕方ない。あれしかないな」


掃除しているときに、上の階に続く小さな通気口を見つけたのを思い出した。
階段の途中に設けられたそれは、昔は荷物置きにでも使っていたのか、子供が屈んで入れるほどの小さな空間から続いているようだった。

下の階にいるよりは上の階に近く、小さな空気穴を通って上の部屋とも繋がっているようだった。
空気穴なのか、冷え込む冬場に暖炉の暖かい空気を送るための穴なのかは分からないけれど。

その小さな空間に頭でも突っ込むことが出来れば、上の階の気配くらい探れそうな気がした。


「おいペトラ、どうだ、何か聞こえるか?」

「信っじらんない、なんで私がこんなことしなきゃいけないの!」

「その隙間はお前しか入れないだろうが!全部聞こえるわけじゃないんだ、耳を澄ませて聞いてみろ!」

「最っ低!」


文句を言いながらも、言われた通りペトラが耳を欹てるのが分かった。
ペトラは出来ればそんな音も声も、気配さえも聞こえなきゃいいと思った。

出歯亀しているようでエマにも物凄く申し訳ないし、兵長にも悪い…。
罪悪感を感じつつも。
ペトラの中では、断り切れない理由もあった。

もし…だけど。
もし、兵長がエマちゃんを恋愛対象として見ていないなら、とほんの少し期待してしまった自分がいた気がしたのだ。


頭のどこかでは分かってるはずなのに。

兵長のエマちゃんに対する態度が、他のどの人に対するものとは違うって…。


ペトラはとうとう観念して、その答えを見つける為にも決死の覚悟で耳を澄ませた。
煉瓦造りの城が誰もいないかのように一瞬、しん、と静まり返る。


「「……」」


少しの間の後、ペトラがその小さな隙間から手を出して出てこようとした。


「な、なにも聞こえない…けど。」


それを聞いて、全員の肩からふと力が抜けた…が。


「あ、待って……!」


一瞬の間の後、ペトラが少し焦ったように言った。



「ど、どうした?!やっぱ、俺ら違う塔に行った方がいいのか!?」


「な、なんか…」



ごくりと男性陣が唾を飲み込む。


「何を話してるのかは分からないけど……すっごい…言い合いしてるみたい」


てっきりそういう声やら気配が聞こえるか、何も聞こえないかのどちらかだと思っていたので
ペトラの言葉を理解するまでに少し時間がかかった。


…言い合い?

なんだ、こんな状況で喧嘩してるのか?

とりあえずそういう声じゃないんだな、と全員今度こそ少し微笑んだ。


「そ、そうか。やっぱりな!」

「兵長がこんなところで手を出すわけねぇしな!」

「さー、すっきりしたところで俺たちも寝るか。変に緊張して損したぜ」

「ってことは、兵長とエマはそういう関係じゃないってことになるのか?」


最後にそうオルオが呟いて、その後そもそもの言い出しっぺのエルドへと全員の視線が向けられた。


「……真相は一日で分かるものじゃない。一時保留だ」


副班長的な位置でもあるエルドは、さすがとも言える最もらしい言い訳をつけて、その場は解散となった。




  


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