△ ナカロマ 81
リヴァイが旧本部へと移動してしまい、また彼との間に物理的な距離が出来てしまった。
会えたら会えたで緊張するのに、会えなくなると途端に気持ちがしぼんだように滅入ってしまっていた。
…なんて、わがままな私。
リヴァイの顔を見たら緊張してしまう、って本当のことを言えたらいいのかな。
…変に思われない?
次に会えるのは、いつになるだろう。
まさか旧本部に滞在中は一度もこっちへ戻ってこない、なんてことないよね…?
もしそうであれば一か月近くも会えないことになる。
そんなの、いやだ…。
会いたいよ。
もう緊張しすぎて心臓が壊れてもいいから、会って顔を見たい。
リヴァイから離れるなんて、今はもう考えられない。
窓辺に肘をついて気が抜けたように静かになった私をみて、ソニャはあの湖に行こうよと声を掛けてくれる。
分隊長があの日教えてくれた、おすすめの場所。
怪我にいいよ、と彼女が教えてくれたのは人里離れた場所にある森の中の湖だった。
馬でしかいけないところだそうで、水温が温かくて珍しいらしい。
怪我や骨折の治癒にも良いそうだ。
血行を促進する効果があるので是非行ってみなさい、と言われた。
知る人も少ない穴場とのことだった。
一緒に行こうと誘われたけれど、私の足はまだ石膏が取れないので馬にも乗れないし、水に入ることも出来ないので、行っておいでよとソニャを促した。
そう伝えると彼女は落胆しながらも、仕方なく一人で行ってみることにしたようだ。
「じゃあ、まずは私が行って見てくるから!」
「うん、気を付けてね」
腕を骨折しているのに馬に乗るなんて許可が下りるわけがないと判断した彼女は、その日の夜一人でこっそりと病室を抜け出していった。
その帰りを待ちながらもうっかり寝過ごしてしまって、朝起きるとソニャはいつの間にかベッドに戻ってきていた。
目を覚ました彼女は、とても上機嫌でその場所のことを話してくれた。
「超おすすめ!エマ、次は絶対に一緒に行こうね」
ソニャの怪我の経過もそのおかげもあってか良いようだった。
なんでも湖は少し丘を上がったところにあるらしく、その水はほとんどお湯かと思うほど温かくてとても気持ちが良い場所だったらしい。
…それは、ちょっと楽しみかも。
リヴァイに会えない毎日の中で楽しみが一つ増えて、石膏が取れるまでの何週間かは静かに、体重をかけないように努めて過ごした。
