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 ナカロマ 73

こんこん、と静かな室内に突然ノックが響いてお互いがはっと我に返った。


リヴァイの手がびくりと一瞬戸惑って、私から少しだけ離れる。
そこへ、明るい声が聞こえた。



「失礼しまーす…って、あっ」



ぱっと扉から顔を覗かせた彼女は、リヴァイとエマ二人の顔を交互に見てから慌てた声を出した。

その顔を見て、エマも素早く涙を隠す。


ぺ、トラさん…。


こんな、リヴァイの気持ちがやっと見えそうだった時に。
こんなタイミング。

ずき、とまた胸が軋む。
恋愛でこんなに、怪我してるみたいに胸が痛くなるなんて。



やっぱり、私とリヴァイの関係ってどこまでいってもこれ以上はない運命なのかな…。


「あ、あの、エマちゃん、兵長…大丈夫ですか?私、お邪魔でした?」


心配そうなペトラさんの声と表情に胸がぎゅうっと締め付けられた。

違うんです、邪魔なのは、
いつも邪魔してたのは私の方なのに…


「……あ、大丈夫です。すいません、私…」


泣いていたのを気付かれないように今度こそ笑って明るく言おうとしたのに。

その先を紡ごうとして、唇が震えた。

なんでもない言い訳を言えばいいのにそれさえも出てこない。


私、わたしって、いったい何?


リヴァイにとっての私って…?
そんなことさえも分からないのに。

さっきの行動の意味さえ分からない。



「……っ」



言葉が、出ない。

こんなのペトラさんに変に思われちゃう。


…でも、待って。

こんなところを見られて困るようなことをするリヴァイがいけないんじゃない…?

さっきのも、きっと私を泣き止ませる為にしたことで。


言い合いになったときも私へ明確な返事もしてくれなかった。

私にもペトラさんにも中途半端な態度で、傷付けて。


ちらりと盗み見たリヴァイの思いは、分からない。
何かを思案しているような、していないような。
なんで、何も言ってくれないの…?


ここはリヴァイがなんとかすればいい。


私がペトラさんに言い訳なんて、元からしなくていいんだから。
私が焦って悩むことない…。


困って、ペトラさんに申し開きでもなんでもすればいい。

それで仲直りでもすればいい。


私がさっさとこの場を出て行くことが一番正解な気がした。

私が邪魔をしているのは明らかだ。
あとは二人が話し合えばいい。

私とリヴァイは……話し合う必要も、ない。



「わ、わたし…失礼します…」



ぎゅっと手を握りしめて、ペトラさんの横をすり抜けようと足を踏み出した。


体中が、ずきずきする。

足よりも、心臓が痛い。

呼吸さえままならない。



心臓が、壊れそう。



リヴァイ……
お願いだから。

私がいなくなるまで、ペトラさんの名前を…呼ばないで。



二人でいるところはこれ以上見たくない。

仲良いところなんて、聞きたくもない…!




「ペトラ」




ーーー!!!


その口から聞こえる他の人の名前にまた胸がぞわりと気持ち悪くなって、早く立ち去ってしまおうとした…




のに。




リヴァイが掴んだのは、私の腕だった。



  


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