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 ナカロマ 49

瞼がいやに重くて、抗えない。

昨日は気付いたらベッドの上で、しっかりブランケットも羽織っていて。
自分で移動したことも覚えていないくらい熟睡していたはずなのに…寝れた気がしない。


すごく、ねむい。

私…このまま死ぬのかな。

…リヴァイ、ごめんなさい。




「…黙って出てきてご……なさい…」




知らずに、涙がじわりと滲んだ。







−−−−−−−−−−−−−−







次に気が付いた時、空は紺色に変わり始めていた。

気温も下がり始めて、小さく身震いする。


寒い。


目を開いてみると、今度はさっきより意識がはっきりしていた。

意識とともに頭痛も覚醒していく。
ずきずきと、絶え間ない。


気を失っている間に巨人に食べられてしまえばいっそのこと楽になったのにな…。


こうして倒れていても襲われないなんて運がいいのか、悪いのか。

その間にも周りは段々と暗くなっていく。

巨人は夜は動けないはずだから、その事実に少なからず安堵した。


…早く真っ暗になってほしい。


そのまま少し考えて、一際大きく息を吸い込んでから瓦礫の中でゆっくりと身を起こした。
眩暈と頭痛で目の前が揺れる。


じっとしていても、悪足掻きしても…変わらないなら。
ぎゅっと拳を握り、息を整えて、何度も瞬きをしてみる。

呼吸が落ち着いたところで体を反転させて壁にもたれかかった。
慎重に左足を引き抜き、大きな外傷も見られないので、とりあえずふうと息を吐く。

満身創痍ってまさにこのこと。

全身の痛みはきっと打ち身だろう。
問題は、足のほうだ。


左足を持ち上げてみると、ブーツが脱げないくらい腫れてどくどくと熱を持っている。

現状を見るともっと痛く感じる気がして脱ぐことも諦めた。


…動けないわけじゃない。


持っていたブレードは折れてしまったけど予備はまだあるし、立体起動装置もまだ生きている。


左足に体重をかけないようにして立ち上がり、手頃な瓦礫を伝って外へ向かうことにした。

足場が悪く、転がる瓦礫がからからと乾いた音を立てる。
よろけるようにして外へ出て、顔を上げると同時に息を呑んだ。




「……!!」




目の前には、熾烈な戦況を物語るような兵士達の亡骸がそこかしこに残されていた。

ふらついて壁にもたれ、震える足が崩れ落ちないように踏みとどまる。



−−−暗くてよかった。



目に映る場景の色彩が欠けていて、まだそれがただの悪夢のように感じられたから。


真っ赤なはずの皆の血も、ただの黒い染み。
ちぎれた足も手も、作り物みたい。


班の誰かに似た背格好の遺体を見つけるけど、肝心の頭部が無くて確信が持てない。

ダ、ダミアンさんは…?
分隊長…、皆。

こんなにいっぱい、人がいるのに。

誰も生きていないの…?


思わず辺りを見回して誰か生きていないか、動くものはないか確認してしまう。


でも、だれも、なにも動かない。


その中の一人と目が合って、二度と景色を映さないその目を見てぞくりと背筋が凍る。


こ、この人、隣の班の人だ…。


怖くて申し訳なくて、それ以上凝視は出来ないなんて、私はなんて失礼なんだろう。


皆と一緒に戦えていればよかった。


…自分だけ運がよかったなんて、皆に対して申し訳ない。

誰かが私の代わりに助かったかもしれないのに、こんな風に生き残ってしまうなんて。



震える体を自分の右手で抑え込んで、足を引きずりながら皆の体を踏まないように通り過ぎていった。



  


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