△ ナカロマ 41
表情を変えずに私のことを見ていたリヴァイが、ふと私の頭に手を置いてくしゃくしゃと何度か髪を遊ばせる。
…彼なりに慰めているつもりなのか、と泣きながらも少し驚いて、くすぐったく感じた。
こんな腫れた泣き顔を見られるのは嫌だけれど、リヴァイにこんな風に優しくされるなら悪くないかも、なんてとってもずるいことを考えていた。
『何か飲むものを持ってきてやる』
そう呟く彼に焦って返事をした。
『い、いらない、大丈夫もう部屋に戻るから…』
リヴァイに悪いし、エルヴィンにも知られるかもと心配だったからだったと思う。
すぐに踵を返して階段を駆け上がったけど、部屋に入って扉を閉めようと振り返ったら後ろから階段を上がって来る足音に気付いて手を止めた。
『…リヴァイ?』
二階に上がってきた彼は、そのまま私の部屋に向かって来るので不思議に思いながらももう一度扉を開いた。
『さっさとベッドに入って、横になれ』
『え…?』
二階は暗かったのであまり彼の表情は見えなかったけど。
見上げた彼は、呆れたような困ったような…でも、柔らかい顔をして私を見下ろしていた。
『お前が眠れるまで、一緒にいてやるから』
小さい子供じゃないから添い寝なんていらない、と思って拒否したけれど一度決めたリヴァイを説得することは出来なかった。
私が渋々ベッドに入ると、彼は部屋にあった椅子をベッド脇に移動して腰掛けた。
よかった、添い寝するわけじゃないんだ、と半分ほっとした。
でも彼は本当にただ横にいてくれるだけで、特に話をしてくれるわけでもない。
リヴァイって、とっても優しいんだけれど不器用な人なんだなと無性に胸が暖かくなった。
これでは眠気なんて来るわけないと諦めて、その場を利用して思い切り彼に甘えてみることにした。
断られても、嫌われてもいいやと半ば投げやりだったかもしれない。
…だって、リヴァイが私のわがままを聞いてくれるなんて思わなかったから。
『…リヴァイ、手を握っててもいい?』
『………手?』
その声を聞いて、少し笑ってしまった。
薄暗い中で見えないはずの彼の表情が手に取るように分かる。
絶対いつものしかめっ面をしてる。
駄目元で聞いたんだからいいんだよ、冗談だよ、って言う前に手を差し出されて言葉を無くしてしまった。
『握りてぇんだろ。…ほら』
あ、と思う間も無く自分の手を取られて、自分で言ったことなのに心臓が飛び跳ねた。