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 ナカロマ 40

数々の兵士を失って、犠牲にして、その上にこの兵団が成り立っている。

そんな中で成果を残してきた、生き残ってきた兵士達がエルヴィンで、ペトラさんで、エルドさんたちで、…リヴァイで。
周りの人間がどんどんいなくなっていく地獄みたいな狂いそうな環境で、どうやって皆自分を支えてきたんだろう。

寝られないことは誰にでもある、と話すリヴァイを思い出す。
ここにいる誰もがそんな経験したことがあるって少し目を逸らして、でも少し柔らかい表情をして。

あのとき、何を思い出していたんだろう。
途端に胸がぎゅう、と切なくなった。

どうしていつも彼のことを私はもっと分かってあげられないんだろう。
ときどき冗談めかして言うけれど、リヴァイはその場しのぎでからかったりする人じゃないのに。

『…一緒にいてやるから』

一度だけ、エルヴィンの家に来ていたリヴァイが呆れたような、困ったような表情を浮かべながら寝室まで付いてきてくれたことがあった。
なんであのときはそういう流れになったんだっけ…?

あれはエルヴィンの家に移動してきたばかりの頃。
まだ新しい家にも生活にも気を張ってばかりで、夜になると無性に母が恋しくて泣いてばかりの頃だった。

泣き疲れてそのまま寝てしまうなら良い方で、変に目が覚めて眠れない日もあった。
そんなときに滅多に来ないリヴァイが来ていると嬉しくて、彼の傍から離れなかった…と思う。

本当に時々来る彼の目的はエルヴィンとの重要なやり取りのはずで、
滞在時間もいつもそんなに長くはないのにそれを邪魔してしまっていた…と今更ながら自分の行動を恥ずかしく思い後悔する。

リヴァイがエルヴィンと一緒に来るのはいつも大体夕方くらいで、
二人で何か難しい話を延々としてその日の夜のうちに帰っていくのがほとんどだった。

…確かあの日、
私はリヴァイが来ていることを知らなかったんじゃなかったかな。

エルヴィンの家族はとても優しいのに、母親との思い出がどうしても恋しくて悲しくて。
こんなにお世話になっているのにまだ泣いているなんて誰にも知られたくなくて、
顔を洗おうと音を立てないように階下に降りたところで彼に見つかったんだ。

−−−あのときリヴァイは書斎の前の壁に寄りかかるように立っていて、
中にいるエルヴィンを待っているみたいだった。


『…どうした』


いつもは自分から走り寄ってくる私が離れたところで立ち止まったのを少し不思議に思ったのか、少し小さく響くリヴァイの声。
彼からみたらまだまだ子供かもしれないけど、一般的には思春期の年齢だった私はリヴァイにひどい顔を見られたくなかった一心だったと思う。


『−−−な、んでもない…』


やっとそれだけ返すが、まさか彼がいると思っていなかったので部屋に戻ろうかバスルームに飛び込んでしまおうか、どうしようと一瞬躊躇してしまった。
その迷っている間にリヴァイがこちらに近づいてきて、逃げる間もなかった
一瞬びくりと身構えて、辛うじて見られないようにと片手で顔を隠すように覆うが、
思ったよりも顔を近づけるリヴァイには泣きはらした目が見えていたはずだ。

『……眠れないのか?』

そう、いつにも増して優しい声色を聞いてしまって、引いたはずの涙がまた溢れてきて思わず小さく何度も頷いてしまった。



  


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