△ ナカロマ 32
−−−壁外で…リヴァイの元で少しでも役に立ちたい。
自分の言葉が思い出される。
それは、本心。
そうは思っているけれど。
リヴァイの元で、なんて自然に出た言葉に少し自嘲する。
それはあくまでみ調査兵団で、という意味だ。
どんな形であってもここで役に立つことが出来れば
それが兵士長である彼に繋がっていくのではないかという思いからだったが、自分の意識下での希望がそのまま口をついて出たようだ。
決してリヴァイの班に無理矢理入りこみたいわけじゃないし、自分にそんな大それた実力も経験が無いのも嫌というほど分かっている。
今日中庭で見た特別作戦班のメンバー構成のバランスが良いことは先日整理していた書類の中でも確認してわかっている。
そう理解しているはずなのに、脳裏にはペトラさんとエレンという男の子の二人の姿がちらつく。
ペトラさんは、同じ女性なのに。
…エレンは、同じ新兵扱いなのに。
彼のそばにいられる。
一番近くで、同じ作戦の中で、支えあえる。
最も、私はエレンとは違って新兵でもなく見習い、なのだけれど…。
リヴァイがいるであろう兵団本部を見つめながら小さくため息をつく。
もう…!!!
体を動かせばうじうじした気持ちも吹っ飛ぶと思ったのに。
この、生きるか死ぬかの調査へ向けて皆真剣に訓練している中で。
調査兵の中でこんな恍けた恋愛脳をしているのは私だけだ…。
自分でも分かる。
リヴァイはきっと壁外行きなんてしばらく許してはくれない。
私のこんな生半可な覚悟で外に出れば、兵団のお荷物になるのは目に見えているから。
だから、私の覚悟が決まれば、その時はきっと…。
「エマさーん、おーい。
すごいじゃないですか!驚きました!」
はっと我に返り、反り返った崖を見下ろす。
先ほど訓練場まで案内してくれた兵士がエマの下から崖を上がりつつ、感嘆の声を漏らした。
すぐにワイヤーを巻き取る音がして彼が上ってきた。
「あ、さっきの…。
本当に一緒に訓練させてくれて、ありがとうございます。
少しずつだけど、感覚が戻ってきました。」
彼は、ハハ、と小さく笑いながら私の横に並ぶ。
「それは良かったです!でも正直、どうしてエマさんが見習い枠なのか分からなくなってきました」
「え?」
見習い枠の意味?
上手く会話を汲み取れず、聞き返す。
「噂ではまだ壁外に出れるレベルではないから、見習いだって聞いてたんですけど。立体起動の動きを見る限りそうでもなさそうですし…」
「あ、いえ、それは事実です…」
噂ってそういう事だったんだ。
でもそれなら、確かに合っているかも。
自分の戦闘能力も覚悟も、すべてが足りなくて焦れる。