△ ナカロマ 30
「僕、今日からあなたが訓練参加する班の一員なんですけど、訓練場所が変更になったのでお迎えに来ました!」
「あ…!わざわざありがとうございます!」
見ず知らずの人に声を掛けられ警戒していたが、体から力を抜く。
こちらです、と歩き出そうとした彼が、あ、と呟いて足を止める。
「あそこにいる人たち…リヴァイ班ですね。知ってますか?特別作戦班。」
そう言われ、つい先ほどまで見ていたペトラさんとエレンという男の子に目線を戻した。
「あ、知ってます。
リヴァイ…兵長が選んだっていう人たちですよね?」
「そうなんですよ!
リヴァイ兵長にお会いしたことはありますか?
すっごく怖いんですけど、それ以上にすっごく強い人なんですよ!」
すっごく怖い、という一言でふっと吹き出してしまった。
それでも彼の言葉は尊敬であふれているのは明らかだ。
リヴァイのことを…好きな人のことを褒められるというのは
なんてくすぐったくて嬉しいことなんだろう。
「…私もそう聞きました。
すっごく怖くて、でも強いって…。
私も今は見習いですけど、近いうちに皆さんと一緒に壁外でリヴァイの…兵長の元で少しでも役に立ちたいんです」
へえ、とその兵士は声を漏らした。
「女の子なのに、偉いんですね!
じゃあ今日の訓練はお手並み拝見てところなのかな」
さ、こっちですよ、と人懐っこい笑みを浮かべながら彼は中庭と反対の廊下を渡る。
きっと噂通り、見習いという階級は彼女の戦闘能力がまだ低いからなんだろうな、と兵士はあどけない少女の笑顔を見て小さく思った。