△ ナカロマ 28
リヴァイは静かに私を振り返る。
その表情は、まさに鳩が豆鉄砲…だったけれど、すぐに満足そうな顔に変わった。
「なんだ、呼べば来てくれるのか?」
「えっ…」
ずい、と顔が近づいたので反射的に身を引く。
…あれ?
おかしい。
私のペースになるはずが、まだまだ彼の術中にいる感じだ。
「…リヴァイが、そんなに寂しいっていうなら、行ってあげるけど」
苦し紛れにそう言うが、彼の口元がにやりと上がるのを見て全身の温度が上がるのが分かった。
顔が、熱い。
うう、絶対赤くなってきてる。
「頼もしいな、呼んだら来いよ。…必ずな」
それだけ言うとリヴァイは不意に私の左頬を撫でた。
とくん、とくん、と耳が脈打つのが聞こえる。
外気に包まれた彼の手が触れると一瞬だけひんやりとして、すぐに本来の熱さを伝えてくる。
触れられたのはたった二秒程だったと思うけれど、一瞬時間が止まって、彼の背後で葉が舞い落ちるのもスローに見えた気がした。
すぐにリヴァイは手を放し、身を翻して会議室へと戻っていった。
冷えた風が、顔に当たって気持ちいい。
かさかさと、葉っぱが舞い散る音がする。
…そんなわけない。
そんなのあるわけない。
あるわけないのに、なんでいまキスされると思ってしまったんだろう。
私、いまどんな顔してた!?
恥ずかしい。
恥ずかしすぎる。
どうしよう、変な顔してたら。
はぁ、と両頬を両手で包んで深く深呼吸するように息を吐いた。
…リヴァイは優しい。
最近は特に優しい。
他の人にもそうしてるということ?
顔を近づけて、頬を撫でて。
こんなの、今みたいなこと、他の人にしてたら…!
いやだ。
そんなの、いやだ。
こんなことするの、私だけにして…。