△ ナカロマ 26
リヴァイに手を引かれて向かったのは、いつか連れてこられた本部に併設された小さな食堂だった。
今度こそ誰かに咎められるのでは、と思ったが、今回も昼時だというのに誰もいなかった。
それほど上官達の食事時間にはむらがあるのか、エマには知る由もない。
前回と同じようにカウンター席に座るリヴァイの横に今度は幾分か落ち着きながら並ぶことが出来た。
調理場から前回とは違う幾分か若い男が顔だけを見せ、二人の姿を確認し、一瞬だけリヴァイと目を合わせて奥へと引っ込んだ。
昼食のメニューは決まっているのだろうか。
「…で?」
頬杖をついてエマを見るリヴァイからは何の表情も読み取れない。
「なんだ、話って」
話がある、とは言ったもののそれはあの場で咄嗟に口をついたものだったので、エマは、えっと、といって言いつぐんだ。
でも、伝えたいことはある。
「最近、あまり会えなかったし…」
目線を返しながら素直にそう口にすると、リヴァイはほんの少しだけ目を大きくした。
「……寂しかったか?」
悔しいけれど。
「…うん、少し」
ふ、と彼の表情が柔らかくなった。
その変化にも胸がふわりと舞い上がる。
「…そうか。まだまだガキだな」
だけど、その軽くあしらわれるような言葉に少しむっとした。
この男は…。
人がせっかく頑張って気持ちを伝えているというのに。
分かって言ってるの?
それとも、本当にただホームシックのような寂しさだけだと思ってるの?
いつだってあなたに抱きしめてほしい。
異性として意識している、と伝えたらこの人はどんな顔をするんだろう。
調理場から、かちゃかちゃと音がして、男が料理を運んできた。
メニューはパスタに野菜が添えられたものだった。
一般兵士用のそれより少し贅沢なものに見える。
美味しそうだけど、いいのかな…。
ここで断ってもリヴァイを不機嫌にさせるだけな気がして黙って食する事にした。
「残さず食えよ」
「…いただきます」
彼の言動を見る度にますますそれが子猫の世話をやく母猫のようにしか思えない。
…パスタはとても美味しかった。
ただ、他の兵士達に申し訳ない気もする。
私は一応見習い…なのに。
食事を取りながら他愛もない会話をいくつか交わす。
彼もやはり相当忙しいらしい。
会いたいのはやっぱり私だけ?
なんだかリヴァイだけが余裕な気がして悔しくなる。
…それなら。
「リヴァイ。壁外調査、だけど。」
どうせこれも、ずっと思っていたこと。
「…訓練だけでも参加したい。私が参加出来るのは、まだまだ先?」
「……」
分かっていたことだけど、彼の口が重くなった。